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不動産会社は日本全国で12万社もの数が存在しています。家を売る時は、12万社もある不動産会社の中からどこを選べば良いのでしょうか。
選んだ不動産会社によっては、早く売却してくれるところもあれば、自社の利益だけを優先するところもあります。
また家の売却査定の段階から「なにかおかしい」不動産業者もいるので、余計なトラブルを避けるためには、そういった業者の手口を知っておかなければなりません。
ここでは、いい加減な不動産業者を見極めるためのポイントをご紹介します。
家を売る時のこんな不動産会社は要注意
家を売る時は、基本的に不動産業者が仲介を行います。家を売りたい人(売主)と家を買いたい人(買主)というのは、たいてい不動産の知識が無い個人の場合がほとんど。
売主・買主の双方が個人で売買契約をする場合、土地や建物に関する法規制などの知識が無いのでわからないですよね。
たとえば売買する家の「敷地の境界」がどこまでなのか、もし買主が購入した中古住宅を建て替えたい場合は「再建築」できるのか、などといった法律的な知識が必要になってきます。
こうした土地・建物の権利に関することや建物設備などについては、ちゃんと調査をしておかないと後からトラブルになりかねません。
不動産業者が仲介役として売主・買主の間に入ることで、売買をする家をプロの目で調査し、きちんと売主・買主に重要事項を説明します。
不動産業者が専門的な知識と経験を使い売買契約書や重要事項説明書を作成してくれるので、売買契約後のトラブルを未然に防ぐことにも繋がるのです。
しかし、不動産業者の全てが「良い業者」とは言い切れません。中には、売主に不動産の知識が無いのをいいことに、少しでも自社の利益を得ようと画策する業者も存在します。
では、どうやって良い業者、悪い業者を見極めればいいのでしょうか?
不動産業者の見極めポイントを見ていきましょう。
レインズへの登録が遅い
家を売る時は、不動産業者と「媒介契約」という契約を行い、売却活動を業者へ委任することになります。この媒介契約のタイプは全部で3種類。売主がこの3つのタイプの中から、どの媒介契約にするか自由に選ぶことができます。
一般媒介契約
複数の不動産業者に同時に売却依頼をすることができる。
レインズへの登録義務はなく、売主へ対する販売活動の報告義務もない。
専任媒介契約
1社とだけしか媒介契約ができない。
媒介契約締結日から7日以内にレインズへ登録するよう義務付けられている。
売主への販売活動の報告義務は、2週間に1回以上。
専属専任媒介契約
1社とだけしか媒介契約ができない。
媒介契約締結日から5日以内にレインズへ登録する必要がある。
売主への販売活動の報告義務は、1週間に1回以上。
一般媒介契約は、家を売る際に複数の不動産業者に売却依頼をすることができます。たとえば、1社だけなど、特定の不動産業者だけに売却を依頼するわけではありません。依頼をした全ての不動産業者が売却活動を行ってくれることになります。
一般的に不動産業者が物件の売却活動をする際には、レインズ(不動産流通標準情報システム)に登録を行い、その売却情報を知った他の不動産業者も買主を探す活動が行えるようになる仕組みです。
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レインズとは、インターネット使って不動産情報を交換するためのシステムのこと。国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しており、専用のwebサイトで物件情報を閲覧することができます。
レインズの会員である不動産業者は、毎日レインズをチェックし、ここから不動産情報を得て物件の販売活動を行っているのです。
しかし一般媒介契約の場合は、このレインズに登録する義務がありません。個人が売りたい家を一般媒介で預かった不動産業者は、レインズに登録をしなくてもいいのです。
逆に、専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合は、レインズへの登録が義務付けられています。専任媒介の場合は、契約締結後7日以内。専属専任媒介は5日以内にレインズへの登録をしなければなりません。
ところが、いい加減な不動産業者は、いつまでたっても登録をしないことがあります。「まだ間取り図ができていない」「物件写真が用意できていない」などといった理由をつけて、物件の売却情報がレインズへ公開されるのを遅らせようとするのです。
物件情報の公開が遅れれば、それだけ他の不動産業者が売却情報を知るのも遅くなります。悪意のある不動産業者の場合は、この物件情報の公開を遅らせることで、自社の仲介手数料が増えるのを狙っているのです。
仲介手数料は増えるというのは、いったいどういうことでしょうか。
参考サイト⇒東日本レインズ
参考サイト⇒西日本レインズ
仲介手数料の両手を狙いたがる
不動産業者は、売主と買主の間に入り売買契約を仲介することで仲介手数料を貰い利益を得ています。
たとえば売主から売却物件を預かった不動産業者と、その家を買いたいという買主を探してきた不動産業者が、それぞれ別の会社だったとします。
めでたく売買契約を終えて、売買代金の決済と引き渡しも完了しました。では、この場合は不動産業者がいくら仲介手数料を貰えるのか計算してみましょう。
仲介手数料の計算式は下の通りです。
不動産売買代金×0.03%+6万円=仲介手数料
売買価格2,000万円の戸建が成約した場合。
売買価格2,000万円×0.03%+6万円=仲介手数料66万円
仲介手数料は66万円です。
売却側の不動産業者は売主からこの66万円を報酬として受け取ることができ、購入側の不動産業者も同様に買主から66万円の報酬が得られることに。
それぞれの不動産業者が、売主・買主の片方から仲介手数料を受け取るので、不動産業界ではこれを「片手」と呼びます。
では、家の売却を依頼した不動産業者が、自力で買主を見つけてきた場合はどうでしょうか?
この場合は、売買の仲介をする不動産業者は1社だけなので、売主・買主の両方から仲介手数料を貰うことができるのです。
上の例で計算すると、単純に66万円×2なので132万円もの報酬を得ることが可能になります。1件の売買契約だけで仲介手数料が132万円になるので、かなり大きな報酬ではないでしょうか?
このように、売主・買主の両方から報酬が得られることを「両手」と呼びます。
そのため、少しでも利益を得たい不動産業者はこの両手を狙おうと躍起になることがあるのです。自力で買主を見つけたいがために、家の売却情報をあえて伏せておく「囲い込み」をする業者も存在します。
間取りなどの図面や物件写真を用意しない
もし、家の売却情報をレインズや不動産ポータルサイトに登録していたとしても、わざと反響(問い合わせ)が来にくいようにすることもあります。
たとえば、物件情報の間取り図や物件写真を掲載しない場合。その情報を見た人は、間取り図すら無ければどんな家なのか全くわかりません。このように、あえて売却情報の掲載を最小限にとどめておいて、その間に自社で買主を見つけてこようとしているのです。
売主としては、家の売却情報がしっかりと掲載されているか注意する必要がありますね。
他の不動産業者から問い合わせがきても、おかしな理由をつけて断る
家の売却情報を見た他の不動産業者が、購入希望者に物件を紹介したいので、売主側の不動産業者に問い合わせてくることがあります。しかし、悪意のある不動産業者は「もう買主さんと商談中なので…」などとそれらしい理由をつけて、問い合わせを断るケースも。
早く家を売りたい売主にとっては、こんな嘘をつかれてはたまったものではありません。
やたら査定価格が高い
家の売却を考えている人から媒介契約を取りたいがために、わざと一般の不動産相場よりも査定価格を高めに見積もってくることがあります。売主からすれば、できるだけ「高く売ってくれそうな不動産業者に売却依頼したい」と考えるでしょう。
しかし実際の相場よりも高い売却価格で出してしまうと、近隣の不動産よりも割高になってしまい、「いつまでたっても売れない」という可能性もあります。
すると、不動産業者のほうから「もっと値下げをすれば早く売れますよ」などと言ってくることも。結局値下げをしてしまっては、その不動産業者にお願いした意味がありませんよね。
このように、売却物件を預かりたいがために、初めの査定だけ高く見積もり売主の「高く売りたい」という心理につけこんで媒介契約を取ろうとするのです。
特別な理由もないのに広告掲載不可にしている
家の売却情報を掲載できるのはレインズだけではありません。「at home」や「HOME’S」などの不動産ポータルサイトにも掲載することで、不動産業者だけでなく一般の個人も閲覧することができます。
物件を預かっている売主側の不動産業者は、自由にポータルサイトや広告などで販売活動をすることができますが、他の不動産業者は「売主側の不動産業者の許可」を取らなければなりません。
勝手に他の不動産業者が、広告などを使って販売活動をすることはできない仕組みなのです。
売主側の不動産業者は、他社の不動産業者に先に買主を見つけられたくないので、「広告掲載を不可」にするなど、販売活動を制限しようとします。
広告掲載が不可だと、他の不動産業者は自社の広告やポータルサイトに掲載することができません。かなり販売活動が制限されることになり、買主を探すのも大変です。
悪意のある不動産業者は、わざとこれを狙ってやっています。
抜きをしてくる
「抜き」とは、他社が締結している媒介契約を、横から奪おうとすること。
たとえば、他社が売主側の不動産業者だった場合で、悪意のある不動産業者が買主を見つけることができたとしましょう。
この場合、仲介手数料はそれぞれの不動産業者が売主・買主から貰うことになります。しかし悪意のある不動産業者は、買主からだけではなく、売主からも仲介手数料を貰える両手を狙いたい。
こういった場合に、売主に対して「ウチで媒介契約をしてくれたら仲介手数料を他社よりも安くしますよ」などと言って、売主側の不動産業者からお客さんを奪い取ろうとするのです。
不動産業界では完全にNGな行為なので、こういうことを平然と行う業者は注意しなければなりません。媒介契約違反にもなりかねないので、こういった業者は相手にしないほうが良いでしょう。
活動報告がいい加減
一般媒介契約の場合は売主への販売活動を報告する義務はありません。しかし、専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合は、それぞれ決められた期間内に売主に対して販売活動を報告する義務があります。
この活動報告の内容がいい加減な業者は注意が必要です。反響があったのに具体的な内容が無い、家の内覧をした購入希望者の感想を訊いていない、など活動報告があっさりしすぎている場合は直接不動産業者に連絡して訊いてみましょう。
家を売る時の不動産会社選びで自分ができること
不動産業者によって査定価格や販売活動の内容が異なります。変な不動産業者にひっかからないように、自分で確認できる内容はしっかりとチェックしていきましょう。
売主はレインズの登録情報を確認できる
不動産業者がレインズに家の売却情報を登録したときは、どのように売却情報が掲載されているのかをチェックすることができます。
媒介契約をした不動産業者からレインズの登録証明書を渡されるので、そこに記載されているIDやパスワードを使ってログインしましょう。
登録情報が間違ってないか自分で確認できれば安心ですね。ちなみに、登録証明書には図面の有無も記載されています。
いろんな不動産業者が自由に広告転載できるようにする
不動産業者による囲い込みを防ぐためにも、売主から「広告掲載を可にしてください」とはっきり伝えましょう。他の不動産業者も広告などで販売活動をすることができれば、売れるスピードが早くなる可能性が高まります。
売却価格は口頭ではなく査定書をもらう
家を売る時に査定依頼をした場合は、口頭でなく、きちんと査定書を貰っておきましょう。あとになって「言った・言わない」のトラブルを避けるためです。
まとめ
家を売る時に仲介として入る不動産会社によっては、自社の利益だけを優先しようとしたり、販売活動そのものがいい加減な業者も存在します。
不動産の知識が無い個人としては、わからないことをそのまま放置しておくのはとても危険。確認できる内容は自分でチェックしたり、わからないことがあればすぐに不動産業者に訊いてみることが大切です。
両手を狙いたい不動産業者の気持ちもわかりますが、売主にとってそれは全く関係ありませんよね。
自社で買主を見つけるまで売却が決まるのを遅らせたり、他の不動産業者から反響があるのに断ったりするのは、売主に対する背信的行為(裏切り)とも言えるでしょう。
そんな不動産業者に当たらないためにも、その手口を知っておくことで、業者に対して対抗することができるようになります。
また、「この業者おかしいな」と感じたときは、別の不動業者に相談してみましょう。熟練の専門家から適切なアドバイスをもらうことで、次の対策を練ることができるようになります。
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