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「シミュレーションによるマンションの査定にはどの程度の信用性があるのだろうか…」
「身も蓋もない疑問だけど、シミュレーションで出た査定価格でマンションは売れるの?」
マンションの売却を考えた際、あなたが最も気にするところが売却価格でしょう。
売却価格がいくらになるかによって、今後の人生設計が大きく変わることさえあります。
従来、マンションの売却価格は不動産業者に査定してもらうのが一般的でした。
しかし、昨今はビッグデータを利用した自動シミュレーションによる査定も広がってきています。
そこで今回の記事では、
- シミュレーションによる査定の特徴
- シミュレーションによる査定価格の幅
- シミュレーションによる査定のメリット・デメリット
- シミュレーションによる査定の利用方法
- 不動産業者による机上査定と訪問査定
を紹介します。
メリットとデメリットを正しく把握して、あなたもシミュレーションによる査定価格を上手く利用できるようになりましょう。
シミュレーションによるマンション査定の特徴
はじめに、シミュレーションによるマンション価格の査定がどのように行われているのかをみていきましょう。
シミュレーションが「どのような仕組み」を使い、「どのような要素」を基準として価格を算出しているかを知ることで、シミュレーションによる査定価格の特徴を知ることができます。
シミュレーションの判断の仕組み
シミュレーションは、あらかじめ組み込まれたプログラムと過去の中古マンションの売却データを使って、あなたのマンションの売却価格を査定します。
従来の不動産業者による査定との違いとしては、以下のものが挙げられます。
・不動産業者の主観が入らない
・参照する過去の中古マンションの売買のデータ量が圧倒的に多い
特に参照するデータ量については膨大であり、シミュレーションによっては数百万件を超えるものを利用する場合があります。
また当然ながら査定時に「専任媒介契約を取り付けて、うちに仲介手数料を入れてほしい」という不動産業者の思惑が介在し、査定価格が恣意的なものになることもありません。
このようにシミュレーションによる査定はプログラムが過去の売却データを参照して、あなたのマンションの売却価格を算出するものです。では、シミュレーションによる査定では具体的にどのような要素が査定材料となるのでしょうか。
シミュレーションに用いられる判断要素
シミュレーションによる査定の判断要素としては、次のものが一般的です。
- マンションの所在地
- マンションの階数および方角
- マンションの構造
- 最寄り駅
- 駅からの徒歩でかかる時間およびバスでかかる時間
- 築年数
- 専有面積
- 間取り
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このようにみると、ごく一般的な情報が判断材料にされているとわかります。
ただし、室内の状態、周辺状況といった個別具体的な情報や最近の人気物件などの情報は利用されていません。
そのためシミュレーションによって算出される価格は、「あなたのマンション」の価格というよりは、「あなたのものと似た客観的条件を持つマンション」の価格として捉えるのが適切です。
実際に3つのシミュレーションを使ってみた
ここでは実際に以下の3つのシミュレーションを利用して、同一のマンションの査定を行った結果を紹介します。
- CENTURY21のシミュレーション
- マンションnaviのシミュレーション
- IESHILのシミュレーション
実際に査定したマンションの大まかな条件は以下のとおりです。
- 東京都世田谷区に所在
- 2階の部屋
- 鉄筋コンクリート造
- 京王線の駅から徒歩15分
- 築15年
- 約75㎡
- 3LDK
以下がシミュレーションにより実際に算出された価格 です。
シミュレーション名 査定価格
CENTURY21 3,640万円~3,940万円
マンションnavi 3,740万円~4,040万円
IESHIL 4,488万円
CENTURY21とマンションnaviの値段は概ね似たものとなりました。
一方で、IESHILのものは500万円ほど高く査定されました。
このように、使うシミュレーションにより査定価格は異なるのです。
そのため一つのシミュレーションによる査定価格を額面通りに受け取ることがないように注意してください。
複数のシミュレーションを使うことで、あなたの中に査定価格の相場が生まれるはずです。
シミュレーションによる査定のメリットとデメリット
ここではシミュレーションによる査定のメリットとデメリットをみていきましょう。
メリット
シミュレーションのメリットを知ることで、シミュレーションによる査定を実際のマンション売却の中で活かすコツがわかるはずです。
具体的にシミュレーションによる査定には以下のようなメリットがあります。
- 査定が手軽で早い
- 24時間利用可能
- 複数のシミュレーションを同時に使うことができる
- 不動産業者とやりとりをする必要がない
このようにシミュレーションによる査定の最大のメリットは手軽さです。
「まだマンションを売ると決めたわけではないけど、将来のために売却価格を査定しておきたいな…」という場合に、シミュレーションは特に便利でしょう。
大まかな査定価格を知ることができるので、今後の住み替え計画などの役に立ちます。
また、査定を行っても不動産業者から営業の連絡がこない点も売却の検討段階である人には嬉しいはずです。
デメリット
デメリットを知ることで、それを補う方法を知ることができます。
具体的にシミュレーションによる査定には以下のようなデメリットがあります。
- 室内の状況や具体的な周辺環境といった個別的な情報が査定価格に反映されない
- 査定価格と実際の売却価格の間に大きな乖離がある恐れ
- 使うシミュレーションにより査定価格が大きく異なる恐れ
シミュレーションの最大の弱点は個別具体的な情報が査定価格に反映されないという点です。
例えば、あなたのマンションの一室が大きく汚れている場合、シミュレーションの査定価格にはそれがマイナスポイントとして評価されないのです。
結局のところ、シミュレーションのみを利用して実際の売却価格に近い数字を得ることには限界があるのが現状です。
シミュレーションによる査定価格の利用方法
ここまでみてきたように、シミュレーションによる査定は大変に手軽ではありますが、個別具体的な事情を査定価格に反映することができず、実際の売却価格を知るためには不安な部分が大きくなります。
そのためシミュレーションによって算出された価格は、あくまで一つの参考価格として理解する必要があるでしょう。
くれぐれもシミュレーションによる査定価格を鵜呑みにし、それに基づいて住み替え計画を立てることは避けてください。
実際の売却価格が想定を大幅に下回り、住み替え計画が頓挫する恐れがあります。
一方で、シミュレーションによる査定価格は悪質な不動産業者を見抜くためにも利用することができます。
先ほども軽く触れましたが、不動産業者の中にはあなたのマンションを素早く売却して仲介手数料を得るために、査定の段階で敢えて低い売却価格を伝えるところがあります。
実際は3,500万円前後で売れるマンションにあれこれと難癖をつけて、「このマンションは2,500万円が限界でしょうね」とあなたを欺くのです。
当然、相場よりも大幅に安いためすぐに売却が決まります。
そして、不動産業者は素早く仲介手数料を得ることができるというわけです。
従来、こういった悪質な不動産業者を見抜くためには複数の不動産業者に査定を依頼する方法が一般的でしたが、現在はシミュレーションもその役に立ちます。
不動産業者のよる査定価格が明確な理由なくシミュレーションによる査定価格と大幅に乖離する場合は、注意するべきときがあります。
不動産業者による2つの査定
ここからはシミュレーションによる査定が持つ個別具体的な事情を価格に反映しにくいというデメリットを補う方法として不動産業者による査定について解説します。
不動産業者による査定には以下の2つがあります。
- 机上査定
- 訪問査定
それぞれについてみていきましょう。
机上査定
机上査定とは、その名のとおり「物件を実際に訪れずに不動産業者が行う査定」です。
判断の材料としては、主にシミュレーションに用いられたものと同じものが利用されます。
そのため一見するとシミュレーションによる査定と同じに感じるかもしれませんが、不動産業者それぞれの知識やノウハウによる補正がかけられるため厳密にはシミュレーションと異なります。
また参照されるデータも主観を一切廃したビッグデータではなく、マンションの所在地周辺で最近成約した物件などを不動産業者がピックアップして利用します。
机上査定は不動産業者により幅があることが一般的であるため、信頼できる不動産業者を見つけることができればシミュレーションより正確な査定価格を入手することができます。
また後述する訪問査定より遥かに手間がかからず、早い場合は依頼から数時間で結果を得ることができます。
訪問査定
訪問査定は不動産業者のスタッフがあなたのマンションを「実際に訪れて行う査定」です。
訪問査定においては、以下のような個別具体的な情報を査定価格に利用することができます。
- 部屋や建物の劣化具合
- 周辺環境が騒がしくないか
- 眺望を妨げるものがないか
- リフォームの必要性
- 道路と敷地の関係
- 日照
- 風通し
- 共用部分の管理状況
- 不動産業者が抱える具体的な顧客のニーズ
そのため訪問査定は売却価格に近い査定価格を算出できる可能性が最も高いものです。
ただし、売主としては不動産業者を実際に部屋の中にあげなければならず、手間がかかります。
また査定後に媒介契約を依頼する営業が入ることもあります。
そのため訪問査定は売却を完全に決意した段階で利用するのがおすすめです。
まとめ
今回はマンションの価格を査定する方法の一つであるシミュレーションについて説明しました。
以下は今回の記事のポイントです。
- シミュレーションはビッグデータを利用した手軽な査定
- 使うシミュレーションにより査定価格には幅がある
- シミュレーションによる査定は個別具体的な事情を反映できない
- シミュレーションによる査定価格はあくまで参考価格として利用しよう
- 売却を決意したのであれば、不動産業者による訪問査定がおすすめ
シミュレーションは手軽な反面、実際の売却価格に近いものを算出できるかという点には不安が残ります。
そのため本気でマンションの売却を考えている場合は、シミュレーションによる査定価格を鵜呑みにせず、不動産業者に訪問査定を依頼しましょう。
そうすることで現実的な住み替え計画を立てることができます。
また不動産業者を利用する場合も複数の業者に依頼することでより正確な査定価格を得ることができるでしょう。
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