遺産として受け継いだマンションを売る際の注意点を教えます。

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相続したマンションを遺産分配したり生活資金にしたりするために、売却という方法はとても有効な手段です。

マンションを現金化することで、遺産分配しやすくなったり、維持費の削減になったりします。

しかし、マンションのような相続財産は慎重に処分しないと、売却が無効になったり相続人と揉めたりすることもあります。

また、2015年から相続税に関する法律が改正となったため、相続税対策のことも考えていきたいものです。

このように、遺産の売却で損をしないためにも、相続の知識はしっかりと頭に入れておきましょう。

そこで今回は、遺産として受け継いだマンションを売る際の注意点を教えます。

1、遺産として受け継いだマンションを売る際の注意点3つ

遺産相続は何かとトラブルが多いものです。

通常、遺産は「配偶者と実子」「配偶者と親」「配偶者と兄弟」のいずれかのパターンで分配されます。

相続した遺産が、現金だけであれば、法律で定められた相続人に分配して解決しますが、マンションのような不動産の相続では、そう簡単に分配できません。

マンションを相続人で分けるためには、現金化することが一番いい方法です。

しかし、マンションに居住していたり、手放したくない事情があったりするときは、マンションに住み続けたい人が、他の相続人にお金を払わなければいけない場合もあります。

このように、兄弟間で遺産相続の分配で言い合いになり、下手をすると住む家を失うという恐れも出てきます。

トラブルを防止するためにも、遺産として受け継いだマンションを売るときには、「遺産分割協議」「登記」「税金」について知っておきましょう。

それぞれの手続に関して注意したい点があるため、詳しく紹介していきます。

1.相続人が複数いる場合は遺産分割協議が必要

相続人が何人かいる場合は、遺産分割協議で誰が何をどのくらい相続するのかを話し合います。

実は、相続遺産は好きなように分配しても違法ではありません。

一般的には、遺書に相続できる人を指定してあれば指定分割となり、遺言書がない場合は法律で定められた法定分割に沿って、遺産が分配されます。

もしも、相続人同士で話し合い納得できれば、平等に分配しなくても構いません。

しかし、現実には自分の取り分が少ないと不満をもらしたり、後になって分配のやり直しを訴えたりするというトラブルが発生することがあります。

このような相続争いを防ぐためには、遺産分割協議書をつくっておきましょう。

相続の内容を取りまとめた遺産分割協議書は、相続財産の証明書となり、マンションの登記を行うのに役立ちます。

遺産分割協議書を使えば、どんな状況にも対応できるというところまで法的効力はありませんが、相続財産分配の話し合いをした証拠として記録してくことはとても大切なことです。

2.相続登記が必要

マンションを売る際には、名義変更つまり相続登記を済ませておかなければいけません。

相続したマンションにそのまま住み続ける場合には、名義変更しなくても違法にはなりませんが、売却を考えている場合は、名義変更のための登記を済ませておきましょう。

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原則として不動産は所有権者でないと売却することができないため、相続登記という手続きが必要です。

相続登記は、マンションの所在地の管轄である法務局で手続きをとります。

必要な書類は、登記申請書とマンションの住所や状況を示す登記事項証明書、戸籍謄本などが必要です。

相続登記完了まで、1か月程度かかります。

売却を検討している場合は、早めに相続登記を申請してください。

もしも、他に相続人がいる場合には、相続人全員の戸籍謄本と遺産分割協議書が必要となるので注意しましょう。

3.平成27年に改正された相続税の納税義務

遺産を受け継いだときに、その財産に対して相続税という税金がかかります。

一般的に、相続税には免除・控除制度があるため、一定の額以下であれば相続税はかかりません。

では、どの程度であれば税金がかからないかというと、以下の計算式で「基礎控除」という数を求めます。

相続した額が基礎控除よりも下回った場合、納税義務はありません。試算してみてください

相続税の総額は、次のように計算します。

イ 上記1で計算した各人の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算します。

各相続人の課税価格の合計 = 課税価格の合計額

ロ 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。

課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

= 課税遺産総額

引用:相続税の計算|国税庁

この相続税は、平成27年1月1日に改正相続税制という法改正がありました。

以前の税法では、この相続税の基礎控除を計算するとき、「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、現在では控除額が大きく減額されます。

そのため、これまで納税の対象外とされてきた人たちも、相続税で申告義務が課せられる可能性が増えました。

例をあげますので、相続税がどのように変わったか比較してみてください。

・改正前

法定相続人が2人の場合

「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」→7,000万円

遺産総額が7,000万円以下であれば、納税義務なし

・改正後

法定相続人が2人の場合

「3,000万円+600万円×法定相続人の数」→4,200万円

遺産総額が4,200万円以下であれば、納税義務なし

こうして比べてみるとわかるように、平成27年1月以降から相続税がかかってしまう人が増えると予想されます。

マンションを相続した場合は、納税義務があるか確認しておきましょう。

ここまでが、遺産として受け継いだマンションを売る際の注意点でした。

このような注意点を踏まえながら、どのように相続を勧めていけばいいのかを解説していきます。

2、相続したマンションを売却するまでの流れ

マンションを効率よく売却するためには、スムーズに不動産を相続しなければいけません。

一般的に、売却には早くて3カ月遅くて1年以上かかる可能性があります

そのため、相続手続きを忘れていたり後回しにしたりしてしまうと、どんどん売却できる期間が延びてしまいます。

流れをおおまかに説明すると、マンションを遺産として受け継いだのなら、まずは相続人の確認をします。

遺書がある場合、遺書を確認しますが、ない場合は相続人で話し合い遺産分割協議を作成します。

相続人で遺産分配について話がまとまったら、相続登記をして不動産を売却するという流れです。

それでは、マンションを相続するときの流れについて、どんな手続きで何が必要なのか詳しくみていきます。

1.相続人の確認と調査

家族が亡くなり相続が発生したら、まずは相続人が何人いるのか確認しましょう。

相続できる人は、家族構成によって異なりますが、原則として以下のような関係の人に分配されます。

・故人(被相続人)に配偶者や子がいた場合

配偶者1/2 子ども達全員で1/2

・故人(被相続人)に子がなく親がいた場合

配偶者2/3 両親で1/3

・故人(被相続人)に子も親もなく配偶者やきょうだいがいた場合

配偶者3/4 子ども達全員で1/4

以上の図をみてわかるように、配偶者がいた場合はどのような家族構成でも遺産をもらえる権利があります。

しかし、子がいた場合には親きょうだいには、遺書で指定がない限り遺産は分配されません。

また、きょうだいに遺産分配されるのは、子も親もいない場合に限られます。

ここで、注意したいのが、子どもの数です。

故人に子がいた場合、1/2の遺産を子どもたち全員でわけることになりますが、もし子のひとりが胎児だった場合でも、相続の対象となります。

また、考えたくないことですが、故人に隠し子いわゆる腹違いのきょうだいがいた場合も、相続人として認められます。

相続発生時に相続人の正確な人数を確認する為に、戸籍謄本を発行してもらうのもひとつの手です。

2.財産の確定

続いて、相続できる財産があるかどうか確認していきましょう。

マンションのような不動産や貯金は、相続できる財産です。

さらに、故人がのこした借金も相続財産の中のひとつになります。

しかし、生命保険金や贈与として継いだ財産は相続財産には入りません。

このように、相続できる財産の中には継げるものと継げないものがあります。

そして、継げる財産の中に借金が含まれています。

では、故人が残した借金は、残された家族で支払っていかなければいけないのでしょうか。

実は相続には、プラスの財産もマイナスの遺産も継ぐ「単純承認」と、財産と借金で清算しマイナス分は継がない「限定承認」、そして全ての相続を放棄する「相続放棄」の3つの方法があります。

ここでも少し詳しくみていきましょう。

・単純承認

プラスの財産もマイナスの遺産も継ぐ相続方法です。

故人の不動産や貯金などを相続すると同時に、故人が残した借金も背負います。

相続ができることを知った3カ月以内に、どの相続方法も選択しなかった場合には、単純承認をしたことになります。

さらに財産を隠し持っていた場合や遺産を勝手に処分した場合にも、単純承認をしたとみなされることがあります。

・限定承認

プラスの財産とマイナスの遺産を清算し、それでも残った借金については相続しないという相続方法です。

限定承認をするためには、他の相続人全員がこの限定承認を選択しなければいけません。

しかし、限定承認は限定承認の申述や書類の整理など手間がかかってしまうというデメリットもあります。

さらに、誰か1人でも限定承認しない場合には、全員が限定承認することができなくなるという点も頭に入れておきましょう。

・相続放棄

すべての遺産を相続しない方法です。

相続放棄することを裁判所に受理された場合には、「継がないと思ったけど、考えが変わって相続したくなった」という撤回ができません。

また、子が相続放棄した場合、孫にも効力が及びます。

そのため、子が相続放棄したから孫に相続権がいくことはありません。

余談ですが、相続前に子がすでに亡くなっていた場合には、孫に相続権が発生します。

3.遺産分割協議

上記の「遺産として受け継いだマンションを売る際の注意点」の中でも紹介しましたが、相続人が決まり、相続方法を選択したら、相続人同士で遺産分割協議を行います。

遺産分割協議出作成された協議書は、相続の証明書として有効です。

もし遺言書があれば、この協議を行わなくても遺言書が証明書となります。

遺産分割協議は、不動産の名義変更する際に使用しますので、内容を明確に記載しておきましょう。

書式に規定はないため、相続人全員の同意さえあれば自分たちで作成しても問題はありませんが、不安な場合は行政書士や司法書士などのプロに作成を依頼することができます。

4.相続登記

遺産の分配が決まったら、売却予定のマンションの名義を売却人の名前に書き換えましょう。

相続人の名義に書き換えることを相続登記と言います。

相続登記をするためには、申請書に必要事項を記載し、遺産分割協議書や戸籍謄本を持参し管轄の法務局へ提出しましょう。

もし、受け継いだマンションが古く、ずっと相続登記が放置されていない場合は、放置していた分だけ手続きが増えてしまいます。

その場合は、法務局で手続きの方法や必要書類のことを相談することも可能です。

5.売却依頼

ここまでの手続きがひと段落すれば、いよいよマンションの売却活動に入ります。

スムーズに売却するために、マンション売買が得意な不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

売却予定もマンションに住宅ローンが残っていたら、団体信用生命保険が適用になるかどうかを金融機関に確認してみましょう。

一般的には団体信用生命保険に加入していれば、支払い名義人が亡くなった場合、住宅ローンが完済できます。

仲介依頼する不動産会社を選ぶためにも、まずはマンションの査定をうけていきましょう。

まとめ

遺産として受け継いだマンションを売る際は、「遺産分割協議」「相続登記」「相続税」の3つに注意してください。

きょうだいなどが多く相続人がたくさんいる場合には、トラブル防止のために全員で相続分について話し合い、その証明書として遺産分割協議書を作成しましょう。

相続人が確定したら、マンションの名義を書き換える相続登記を行わないと売却することはできませんので注意してください。

さらに、平成27年1月から相続税の改正があり、基礎控除額が引き上げになったため、継いだ財産に納税義務が生じないかを事前に確認しておくことが大切です。

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