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登記事項証明書というものを聞いたことがあるでしょうか?
登記簿謄本というのはよく聞きますが、登記事項証明書は聞きなれない方が多いかもしれません。
これは土地や建物など不動産に関する記録のことで、書面として法務局から発行されています。
家を売るときはこの登記事項証明書を用意しておかなければなりません。
ここでは、登記事項証明書の取得方法や、登記の内容についてご紹介します。
1、家を売るときは法務局発行の登記事項証明書が必要。その理由とは?
家や土地などの不動産を売りたいときは、買主となる取引の相手方に、「売却する不動産は自分の名義である」ということを証明しなければなりません。
買主にとっては、購入しようとする家が本当に売主の所有物なのか、という点が最も重要です。
もしまったく別の第三者の名義だった場合は、せっかく売買契約をして代金を支払ったとしても、所有権移転登記ができません。
もしそうなってしまうと、買主にとっては大きな損失になってしまいます。
また、売主としても契約不履行になってしまうため買主から損害賠償請求をされる可能性があり、良いことが一つもありませんよね。
このとき、登記事項証明書を利用することで「不動産の所有者が誰なのか」ということを明確にすることができるのです。
土地や建物などの不動産は固定の資産として必ず誰かが所有しています。
特に土地に関しては大昔から誰かが所有し、売買によって所有者が移り変わっていますが、「誰が所有しているのか」ということが分かりません。
登記事項証明書は、過去から現在までの、不動産が取引された履歴を記録して所有者を明確にするのが目的です。
建物の場合、特に戸建は、一見するとそこに住んでいる人が所有者という認識になるでしょう。
しかし、住んでいる人が賃貸物件として借りている場合は、所有者は別の人ということになります。
このように、パッと見ただけでは誰がその不動産の所有者なのか判断がつきません。
所有者が明確になっていないと、家の売却など不動産取引をする際に、契約を履行できない他人物売買などが横行してしまうことになります。
民法上では、他人物売買(他人の所有物を売買すること)の契約は有効とされています。
しかし、買主が代金を払ったのに現物を引き渡すことができなければ、契約の不履行となり契約解除や損害賠償請求をされることに。これでは健全な不動産売買とは言えません。
そこで、売買契約をする際には登記事項証明書を提示することで、誰が見てもすぐに物件の所有者が分かるようになっているのです。
2、登記事項証明書とは
登記事項証明書とは、不動産などの情報がコンピューターによって記録され、法務局(登記所)から発行された書面のこと。
たとえば不動産所有者の氏名や名称が記載されており、抵当権なども確認することができます。
登記事項証明書の中身は、読み方を覚えると簡単です。
「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」などに分かれて記載されており、それぞれ登記内容を細かく確認できます。
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表題部
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土地や建物についての表示です。
土地であれば所在地をはじめ地番・地目・地籍などが記載され、建物も同様に所在地からはじまり、構造や床面積などが記載されています。
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権利部(甲区)
土地・建物に関する権利者(所有者)の氏名や住所などが記載され、登記の目的(所有権保存・所有権移転)などが確認できます。
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権利部(乙区)
こちらは所有権以外の権利に関する内容。主に抵当権についての記載が多いです。抵当権が設定された日付と、権利者(金融機関などの債権者と、融資を受けた債務者)の名称や住所などが記載されています。
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共同担保目録
金融機関から融資を受ける際に、他の不動産も共同で担保に設定した場合に、その所在地などが記載されます。
登記事項証明書の読み方がわかれば、一目でその不動産の内容が理解できるようになります。
その土地や建物を誰が所有しているのか、どこの銀行が抵当権をつけているのか、などを瞬時に理解することが可能です。
コンピューター化されるまでは、登記の内容は登記簿に記載され、証明書として登記簿謄妙本が発行されていました。
現在はコンピューターで登記された内容をプリントアウトし、登記事項証明書として発行されています。
登記事項証明書の取得場所は法務局です。
登記事項証明書の見本を法務省の公式サイトで確認することができます。
参考サイト⇒法務省 登記事項証明書の様式
1、登記簿謄本と登記事項証明書は別のもの?
一般的には、よく登記簿謄本と呼ばれることが多いのですが、意味合いとしては同じものです。
登記簿謄本は、電子化されていない登記所などで直接登記用紙に登記事項を記載しています。
証明書として発行する際は、この登記用紙をコピーしているだけです。
前述の通り、たいていの場合はコンピューターによって登記されたものをプリントアウトして、登記事項証明書として発行されています。
登記簿謄本と登記事項証明書と聞くと、何か違うもののように思えるかもしれませんね。
しかし、どちらも名称が異なるだけで証明内容としては「同じ物、同じ効力」なのです。
3、登記事項証明書を取得するための流れ
登記事項証明書は最寄りの法務局で交付してもらえます。
- 最寄りの法務局へ行く
- 登記事項証明書の交付申請書に記入
- 交付申請書を窓口で提出
- 登記事項証明書の交付を受ける
一般的には上のような流れになります。
法務局は各都道府県に1つ設置されています。
参考サイト⇒法務局所在地一覧
法務局へ行くと、登記事項証明書を交付してもらうための申請書があるので、必要な事項を記入していきましょう。
記入が完了したら受付窓口にいる方に渡して待ちます。順番に呼ばれるので、あとは登記事項証明書を交付してもらって完了です。
初めは記入方法がわかりにくいかもしれません。
たいていは窓口の方に訊くと丁寧に教えてもらえます。
参考サイト⇒法務局 交付申請様式の見本
1、登記事項証明書の交付申請の際に用意しておくもの
事前に必要な書類などはとくにありません。交付申請書を提出する際に、収入印紙の購入を求められます。
登記事項証明書を交付してもらうためには発行手数料を支払わなければなりません。収入印紙を購入して交付申請書に貼り付けることで、手数料の支払いが完了する仕組みです。
収入印紙の購入は、たいてい交付申請書を出す受付窓口のすぐ横あたりに販売しているところがあります。(※各都道府県の法務局によって異なるので予めご了承ください)
収入印紙代は、法務局で直接取得する場合は600円です。
参考サイト⇒法務省 登記手数料について
4、不動産の場合の登記事項証明書の種類
登記事項の内容はいくつかの種類に分かれています。
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全部事項証明書
登記記録に記録されている事項の全ての内容。閉鎖されたものは除きます。
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現在事項証明書
登記記録に記録されている事項のうち現在効力を有する部分を証明したもの。
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一部事項証明書(何区何番事項証明書)
権利部の相当区に記録されている事項のうち、請求されている部分を証明したもの。
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所有者事項証明書
登記記録に記録されている、現在の所有権がある登記名義人の氏名や住所を証明したもの。
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閉鎖事項証明書
閉鎖された登記記録に関することを証明したもの。
実際に法務局で登記事項証明書を発行してもらうには、交付申請書に必要事項を記入して窓口に提出します。
交付申請書には様式がいくつかありますが、「不動産用」と記載がある用紙を使いましょう。
交付申請書の下のほうにレ点チェックマークを入れる欄があります。
このレ点チェックの欄には登記事項の種類が記載されているのでチェックして提出。
これで必要な種類の登記事項証明書が交付してもらえます。
5、登記事項証明書の請求はオンライン手続きができる
これまで登記事項証明書は直接法務局へ直接行って取得するのが一般的でした。
現在は、オンラインシステムを利用して登記事項証明書の請求を行うことができるようになっています。
インターネット環境とパソコンなどがあれば自宅やオフィスから簡単に交付申請ができて、手数料も安いのでお得です。
1、オンライン手続きのメリット
オンライン手続きを利用すれば、わざわざ法務局まで行かなくても登記事項証明書を交付してもらえます。
参考サイト⇒法務省 登記・供託オンライン申請システム
- 自宅やオフィスから登記事項証明書のオンライン申請をすることができる
- 登記事項証明書を郵送してもらえて手数料が安い
- オンライン申請だけ自宅からしておいて、直接法務局まで取りに行くこともできる
法務局などによっては、曜日や時間帯によって混みあっていることがあります。
特に不動産業者や司法書士の方などがよくいるので、交付申請をするだけでも時間が掛かることがあるでしょう。
予めオンラインで申請をしておけば、直接法務局へ取りに行った場合でも時間短縮ができます。
ただし、デメリットとして登記・供託オンライン申請システムの障害が起きた場合や、郵送事故によるリスクがあることは念頭に置いておいてください。
オンライン手続きの手数料
交付申請手続きをオンラインで行うと、通常の手数料600円よりも安い値段で発行してもらえます。
- 登記事項証明書を郵送で受け取る場合は500円
- 最寄りの法務局へ行って受け取る場合は480円
自宅やオフィスのパソコンでアクセスしてオンライン申請をするだけで手数料が安くなるので、昔に比べるとかなり利便性が高まりました。
6、登記事項の情報をインターネットで確認できる
たとえば不動産の登記情報だけを知りたい場合は、法務局に交付申請をしなくても、閲覧することができます。
証明書としての法的な効力はありませんが、登記されている内容をすぐに確認できるので便利ですね。
料金も全部事項証明書で335円だったりと、法務局の窓口で請求するより安くなっています。
参考サイト⇒登記情報提供サービス
こちらの登記情報提供サービスでは、地積測量図や地役権図面などもパソコンから閲覧することができるので、わざわざ法務局まで行って確認する手間が省けますね。
まとめ
登記事項証明書は、原則として直接法務局へ行って取得することになっています。
しかし、パソコンやインターネットの普及によってオンライン手続きができるようになり、より一層利便性が高まりました。
家を売るときは、登記事項証明書が必ず必要になります。
登記事項証明書はその不動産に関することが全て記録されており、誰が見てもすぐに内容が理解できる様式だからです。
土地・建物についての所有者の名前や、現在抵当権がついているのかどうか、などが一目でわかります。
また、登記事項を閲覧するだけであれば、登記情報提供サービスを利用すれば自宅やオフィスからすぐに確認できるのも便利ですよね。
不動産業者が登記事項証明書を用意してくれる場合もありますが、家を売る際には予め自分で取得しておくと売却がスムーズに進むでしょう。
また、登記事項証明書の読み方を知っておけば、土地・建物に関する記録が全て理解できるようなるので、家の住み替えをするときなどにも役立ちます。
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