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「マンションを売却したいけど、古いものだから後になって買主から文句を言われないだろうか…」
「不動産屋に売却の依頼をした時に「瑕疵担保保証」の説明があったけど、意味がわからなかった」
あなたがマンションを売却しようとする際、不動産屋から「瑕疵担保保証」についての説明をされる場合があります。
瑕疵担保保証は売主と買主の両者を守るものですが、制度を把握するのは容易ではありません。
そこで今回の記事では、以下のとおり「瑕疵担保保証」を3つに分解して解説します。
- 民法における原則的な「瑕疵担保責任」
- 「瑕疵」の意味と具体例
- 民法の原則の例外を作る「瑕疵担保保証」という不動産業者のサービス
瑕疵担保保証を正しく理解するためには、順を追って語句の意味を理解し、売主にどのようなメリットが発生するかを知る必要があります。
丁寧に解説しますので、ゆっくりと最後まで読んでみてください。
※この記事には「瑕疵担保責任」と「瑕疵担保保証」という紛らわしい言葉が頻出します。
それぞれは以下の意味で使うため、区別しながら読み進めてください。
・「瑕疵担保責任」…民法に定めのある原則的なルール
・「瑕疵担保保証」…不動産業者が行う保証サービス
民法に規定されている「瑕疵担保責任」を知ろう
マンション売却における瑕疵担保保証を理解するためには、まず民法に規定されている原則である「瑕疵担保責任」について理解する必要があります。
瑕疵担保保証はその原則とは違った効果を売主にもたらすものです。
民法の規定からマンション売却時に必要な要素を抜き出すと、以下のような意味となります。
売主が売却したマンションに「隠れた瑕疵」があったとき、それを知らなかった買主は…
① 契約の解除ができる
② 解約解除ができない場合は(売主に対して)損害賠償の請求ができる
③ ①と②は、買主が「隠れた瑕疵」の存在を知った時から1年以内にしなければならない
ここで問題となるのが「隠れた瑕疵」の意味です。
マンションの売却における隠れた瑕疵の意味は以下のとおりです。
『マンションを購入する時に、買主が通常の注意を払っても知ることができない欠陥や不具合であり、それがあることによりマンションを購入した目的を達成することができないもの』
まとめると、上述した隠れた瑕疵があった場合、それを知った時から1年以内であれば、買主は売主に対して、①契約の解除、もしくは②損害賠償請求をすることができるのです。
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これが民法に規定されている原則的なルールである瑕疵担保責任です。
次はどういったものが具体的な隠れた瑕疵に該当するかを紹介します。
マンション売買における「隠れた瑕疵」の具体例
これ以降、小難しい法律の話はでてきません。
ここでは、先ほど説明した「隠れた瑕疵」の具体例をみていきましょう。
隠れた瑕疵があると、売主には契約解除もしくは損害賠償請求をされるリスクが生まれます。
あなたが売ろうとしているマンションに隠れた瑕疵があるか否かを知ることは非常に重要なのです。
「隠れた瑕疵」に該当するもの
マンション売却時における代表的な隠れた瑕疵は以下のようなものです。
- シロアリ被害
- 雨漏り
- 給排水配管の水漏れ
- 違法リフォーム
- 室内で事件や自死があった事実
- 暴力団事務所の存在や暴力団組員の居住などの事実
上記の要素は「買主がマンションを購入した目的」…一般的には住居として使用することを妨げるものなのであり、買主が通常は気が付くことができないものなので隠れた瑕疵となります。
「隠れた瑕疵」に該当しないもの
次は反対に、原則としては隠れた瑕疵に該当しないものをみてみましょう。
- 家具の下になって見えなかったフローリングの傷
- 上の階の足音がうるさいという事実
- 共用エレベーターの故障
- 引き渡しから1か月後に起こった給湯器の故障
こういったものは隠れた瑕疵には該当しません。
隠れた瑕疵はあくまで、居住することができなくなる程度のものでなければならないためです。
また共用部の故障については、当然に売主の責任ではありません。
売主も「隠れた瑕疵」の存在に気づくことができないのが一般的
隠れた瑕疵の具体例についてイメージができたでしょうか?
あなたが売ったマンションに上述したような隠れた瑕疵があった場合、買主はそれを知った時から1年以内であれば、あなたに対して契約解除もしくは損害賠償請求ができるのです。
このように隠れた瑕はマンションを売却したあなたの地位を不安定にする恐れがあります。
あなたも不動産のプロではありません。
そのため、あなたの知らないところで隠れた瑕疵が形成されていても、それに気が付くことができないことがあるのです。
例えば、あなたがマンションに住んでいるうちにシロアリの巣が形成され、あなたが買主にマンションを引き渡した後に実際にシロアリの被害が発生したような場合です。
この場合、売主であるあなたに対して買主は「シロアリの巣が作られていたことをきちんと認識しておけよ!」と言いますが、それは無理というものです。
しかし民法の原則的な「瑕疵担保責任」のルールに従うと、買主は解約解除もしくは損害賠償の請求ができてしまうのです。
売主としては釈然としない思いがあるはずです。
契約内容による売主の保護
ここまで見てきたように、民法の原則的なルールである瑕疵担保責任に従うと、売主の立場は非常に不安定になります。
マンションの引き渡しから5年後、急に買主から「隠れた瑕疵があったから、契約を解除して代金を返してくれ!」と連絡が入る恐れがあるためです。
しかし不動産については、欠陥や不具合がいつ発生したものか確定させにくい側面があるため、民法の原則的なルールである瑕疵担保責任については、マンションの売買契約時に特約を締結して一定の範囲で売主を保護することが多くなっています。
つまり特約の具体的な内容として以下のようなものを定めるのです。
・売主が瑕疵担保責任を負う期間はマンションの引き渡しから3か月以内とする
・(築古物件であることを考慮して)売主は瑕疵担保責任を負わないこととする
マンションの売買契約時にこういった特約を締結することで、売主は確かに保護されます。
しかし買主の視点で考えると、上記の特約は買主の立場を不利にするだけです。
例えば、前述したように売主の居住中にシロアリの巣が形成されていて、買主が代金を支払いマンションの引き渡しを受けてからシロアリ被害が発生したとします。
買主としては「シロアリの巣がないマンション」に相応しい代金を支払ったにもかかわらず、実際に手に入れたのは「シロアリの巣があるマンション」だったということになってしまうのです。
それにもかかわらず、特約により一定期間経過後は売主に損害賠償すらできなくなります。
結局は自分の費用でシロアリの巣を駆除するしかありません。
このように上記の特約は買主の不利に働くことがあるため、買主が締結に同意しない場合も少なくないのです。
売主を保護しようとしたら買主を保護できず、買主を保護しようとしたら売主を保護できず。
中古マンションの売買においては、このようなジレンマが発生することが多いのです。
そして、それを解決するためのサービスが「瑕疵担保保証」です。
瑕疵担保保証とは
瑕疵担保保証は不動産業者が提供する保証サービスです。
サービスの内容としては、以下のようなものが代表的です。
「隠れた瑕疵」による損害を、マンションの引き渡しから2年間は不動産業者が負担する。
売買契約に付す特約で売主の瑕疵担保責任を3か月に限定し、その上で瑕疵担保保証サービスを利用するのが一般的です。
つまりマンションの引き渡しから3か月間は売主を保護し、その後1年9か月は買主を保護することに繋がります。
そして、引き渡しから2年経過後は買主の負担となります。
ただし、多くの場合は保証額に上限が定められ、一般的には300万円~500万円の範囲で設定されます。
マンションの売買時にこのような不動産業者による瑕疵担保保証サービスを利用することで、売主としては隠れた瑕疵による契約解除または損害賠償のリスクがなくなるのです。
そして買主としても2年間は保護を受けることができ、経年劣化と区別がつきにくい2年経過以降のものについては自腹で当然かと納得できるわけです。
また瑕疵担保保証を利用する際は、プロである不動産業者がマンションを隅々までチェックします。
なぜならば、隠れた瑕疵の存在を見逃したまま瑕疵担保保証を認めると、不動産業者が損をすることに繋がるためです。
このように売買の対象となるマンションについてプロの目で隅から隅までチェックがなされるという点も、売主と買主の安心に繋がるでしょう。
まとめ
今回はマンションの売却時における瑕疵担保保証について説明しました。
以下は今回の記事のポイントのおさらいです。
- 売却したマンションに隠れた瑕疵があると、売主は契約解除または損害賠償のリスクを負う
- 隠れた瑕疵とは、シロアリ被害、雨漏り、室内での自死の事実など
- 床の傷や経年劣化は住居としての機能を失わせるものでないため隠れた瑕疵に該当しない
- 契約で売主を保護すると買主が不利になる
- 瑕疵担保保証は引き渡し後2年間、隠れた瑕疵による損害を不動産業者が保証する
あなたがマンションの売却を考える際、自分すらも知らなかった欠陥や不具合により、後になって買主から急に契約解除や損害賠償請求をされないためにも瑕疵担保保証のサービスを利用するのがおすすめです。
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