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「現在所有しているマンションを手放して、新しいマンションを購入したい」
「マンションの買い替えにダブルローンというものがあるようだけど、どんな注意点があるのだろう」
理想の住まいというものは、家庭環境の変化や好みの変化により変わっていくものです。
そのため現在所有しているものから新たなものへとマンションの買い替えを検討することも珍しくありません。
そのときに資金繰りの方法として挙がるのがダブルローンです。
そこで今回の記事では、
- ダブルローンの仕組み
- マンション買い替えの4つのパターン
- ダブルローンの4つ注意点
- ダブルローンのメリット
- ダブルローンと似た住み替えローン
について紹介します。ダブルローンは2つのローンを借りることです。
当然、返済は厳しくなりますが、一定のメリットがあるのも事実です。
この記事を読み、ダブルローンのリスクも正しく理解したうえでマンション買い替え時の一つの選択肢にしましょう。
ダブルローンの仕組み
ダブルローンとは「現在住んでいるマンションのローンを借りた状態のまま、新しいマンションのローンも借りる」というものです。
まさにその名のとおりローンが2つになります。以下では、ダブルローンとマンション買い替えの難しさについて解説します。
ダブルローンを組まなければならない場合
はじめに、2つのローンを借りるという一見すると不自然な状況が生まれる場合についてみていきましょう。
ダブルローンを組む場合には以下の2つがあります。
- 旧マンションを売却する前に、新マンションを買う場合
- 新マンションを購入し、旧マンションを売却したが、売却額が旧マンションのローンの残債を下回った場合
つまり旧マンションの残債があるにもかかわらず新マンションのローンが発生するとダブルローンになるのです。
これにはマンションの買い替えのタイミングの難しさが大きく関係しています。
マンションの買い替え時の理想と現実
マンション買い替えの理想としては、旧マンションの売却額で旧マンションのローンを完済してから、新マンションを購入するというものです。
これが実現できるとダブルローンは発生しません。しかし、以下の2つの理由から実現が困難なのが現実です。
- 旧マンションの売却と新マンションの購入のタイミングが一致しにくい
- 旧マンションの売却額が旧マンションのローンを完済できる額になるかわからない
つまるところ、あなたが現在住んでいる旧マンションの「売却時期」および「売却額」を事前に知ることができない点がマンション買い替えの難しさなのです。
マンションの買い替えは、旧マンションの売却時期と売却額により以下の4つのパターンに分かれます。
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【パターン1:旧マンションのローン残債を上回る売却額で、新マンションの購入前に売却できた】
このパターンではダブルローンは発生しません。
最も理想的なマンション買い替えの形です。
【パターン2:旧マンションのローン残債を下回る売却額で、新マンションの購入前に売却できた】
パターン2では、旧マンションのローン500万円を支払いながら、新マンションのローンを支払っていくことになります。
すなわち、旧マンションのローンが支払い終わるまではダブルローンとなるのです。
【パターン3:旧マンションのローン残債を上回る売却額で、新マンションの購入後に売却できた】
パターン3では、旧マンションが売れるまでの間、ダブルローンとなります。
旧マンションの売却が先になればなるほど、ダブルローンの負担が重くなります。
【パターン4:旧マンションのローン残債を下回る売却額で、新マンションの購入後に売却できた】
パターン4では、旧マンションが売れた後も旧マンションのローン500万円を支払い終わるまではダブルローンとなります。
マンションの買い替えとしては、最も負担が大きくなるパターンとなります。
以上のようにマンションの買い替えには4つのパターンがあります。
旧マンションの売却時期と売却額を売主がコントロールすることはできませんが、可能であればパターン1を目指したいものです。
ダブルローンの4つの注意点
ここからはダブルローンの注意点についてみていきましょう。
ダブルローンはあなたにとって大きな負担となるものです。
利用を考えている場合は注意点をしっかりと理解しておく必要があります。
返済の負担が非常に大きくなる
ダブルローンは当然ながら返済の負担が非常に大きくなります。
追加される返済額については、もちろん新マンションのローンの内容によりますが、少なくとも旧マンションのローンのみを支払っていた時の二倍程度の額を毎月支払っていく覚悟は必要でしょう。
つまり旧マンションのローンとして月12万円を支払っているのであれば、ダブルローンの期間は2つのローンで月24万円の支払いとなることがあるのです。
実際の数字で金額をみると、その負担の大きさが実感できるはずです。
このようにダブルローンは返済の負担が大きく、相当な収入もしくは資産がない場合は手を出すべきではありません。
そもそも審査が厳しく、組むことができない場合も多い
ダブルローンは大きな返済の負担があるものなので、金融機関による審査が厳しくなります。
審査においては、新マンションのローン額のみで判断されるのではなく、旧マンションのローンの残債および毎月の返済額も判断要素となります。
審査の基準は金融機関によりけりですが、一般的なものとして以下を例に考えてみましょう。
- 年間のローン返済額は年収の35%程度まで
- 遅くとも75歳~80歳までには完済できる想定
- その他の事情(勤務状況、健康状態。過去のローン返済状況など)
上述したダブルローンで月24万円を返済していくために必要な最低年収は約830万円となります。
これも他の条件がすべて良好であった場合です。一般的にはより高い年収が求められるでしょう。
このように金融機関の審査が厳しく、そもそもダブルローンを組むことができない場合もあるのです。
2つ目のローンは金利が高くなる
新マンションのローンは一般的に旧マンションのローンよりも金利が高くなります。
それは金利の低い住宅ローンは1世帯に1つしか組めないと定められていることが多いためです。
住宅ローンの金利が他のローンと比較して低くおさえられているのは、ローンを借りた本人がローンで購入した住宅に住むためです。
住宅ローンにおいては多くの場合、ローンで購入した住宅に抵当権が付されます。
つまりローンの返済ができなくなった場合、抵当権が付された住宅の売却代金が金融機関に支払われることになるのです。
このような前提があり、「ローンを借りた本人が返済を滞らせて、住居という自分の生活に不可欠なものを手放すことはしないだろう」という推定が働く結果、住宅ローンの金利は低くなります。
このため住宅ローンは1世帯に1つまでと定められていることが多くなっているのです。
2つ目のローンの金利は高くなるという点にも注意が必要となります。
旧マンションを賃貸に回すことができない場合がある
ダブルローンを借りる際、旧マンションがすぐに売却できなくても賃貸に回すことで家賃をローンの返済に充てることができるのではないか…と考えるかもしれません。しかし、多くの場合これはできなくなっています。
なぜならば、旧マンションのローンを借りる際に、旧マンションは「自己居住に使う」旨の条件が定められていることが多いためです。
つまり勝手に賃貸に回すと契約に反することになり、損害賠償や契約解除の恐れが出てきます。
仮に上記のような条件が付されていなかったり、金融機関の承諾を得ることができたりした場合、旧マンションを賃貸に回すこともできます。
しかし、その場合はマンションの売却時期が延びる恐れも出てきます。
当面の家賃収入をローン返済に充てるか、売却して一度に大きな金額を得てローンの返済に充てるかは判断が難しいところです。
ダブルローンのメリット
このようにリスクの大きなダブルローンですが、場合によってはマンション買い替えにおいて、あなたにメリットをもたらすこともあります。
先ほど図で説明した【パターン1:旧マンションのローン残債を上回る売却額で、新マンションの購入前に売却できた】に沿ってみていきましょう。
上記のパターン1はマンション買い替えの理想であると説明しました。
ローン残債を上回る額で旧マンションを売った後に新マンションを買うことでダブルローンを発生させず、毎月の返済の負担が小さくて済むためです。
しかし旧マンションを先に売った場合、新マンションの引き渡しを受けるまでは仮住まいを用意する必要があります。
つまり…
- 旧マンションから仮住まいへの引っ越し代金
- 仮住まいの家賃
- 仮住まいから新マンションへの引っ越し代金
が発生するのです。これらはあなたの資産の形成には繋がらない単純なコストです。
では、パターン1における旧マンションの売却時期を敢えて新マンション購入後にずらして上述した、
【パターン3:旧マンションのローン残債を上回る売却額で、新マンションの購入後に売却できた】
の状況を作るとどうなるでしょうか。
上記パターン3の場合、発生するコストは以下のもののみとなります。
- 旧マンションから新マンションへの引っ越し代
このように敢えてダブルローンの負担を享受することで、トータルコストをおさえることができる場合があるのです。
ただし注意しなければならないのは「旧マンションの売却時期が先になればなるほど、ダブルローンを返済する期間が延びる」ということです。
マンション買い替えにおける「住み替えローン」という選択肢
マンション買い替え時におけるダブルローンと似たものに住み替えローンがあります。
住み替えローンとは、「旧マンションの売却額が旧マンションのローン残債を下回った場合、その残債と新マンションのローンを一つにまとめて借入をするもの」です。
具体的には、旧マンションの売却代金を充当しても旧ローンが500万円残った場合、それを新マンションの購入ローン3,000万円と一つにまとめて、新しく3,500万円のローンを返済していくという形になります。
ただし、ローンの総額が大きくなるため当然に審査は厳しくなります。
また売却代金をローン残債に充てなければならないと旧マンションの売却を焦ってしまい、相場よりも安く売却を決めるリスクもあります。
このように住み替えローンにもまたリスクがあるため、資金に余裕がない場合はダブルローンと同様に手を出すべきではありません。
まとめ
今回はマンションの買い替えにおけるダブルローンについて説明しました。以下は今回の記事のポイントのおさらいです。
- ダブルローンは2つのローンを同時に返済していくもの
- ダブルローンは返済負担が大きいため、審査が厳しい
- ダブルローンは金利が高い
- ダブルローンを使ってトータルコストをおさえることができる場合がある
- 住み替えローンは残債と新しいローンを一つにまとめるもの
確かにマンションの住み替えにおいては、ダブルローンを使わなければ実現できない場合があります。
しかしダブルローンはあなたへの負担が大きくなるものなので、利用には慎重な検討が必要です。
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