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最近では、不動産会社に足を運ばなくても、自宅にいながら手軽にインターネットで物件探しができるようになりました。
住まいを探す人にとって、こうしたネット検索は大変便利な手段となりましたが、実はそこにある情報がすべて正しいとは限りません。
あるはずの物件をあえて隠す、いわゆる「物件隠し」という現象が起きています。
物件隠しとは、公開物件をあえて非公開にし、一般のお客様から検索できないようにすることを指します。
不動産会社が物件を隠すことに、どんな意図が隠されているのでしょうか。
そこで、不動産業界の闇とも言える「物件隠し」の実態をすべてお話しします。
1、不動産会社が物件隠しをする3つの理由
不動産会社が物件隠しをする背景には、様々な理由があります。
「不動産会社が物件を隠している」という言葉だけをみると、詐欺や隠ぺいなど良くないイメージだけが先行してしまうのではないでしょうか。
物件隠しは不動産会社の利益のために行われることもありますが、それ以外に売却戦略であったり、時にはお客様からの要望であったりもします。
また、不動産業界にはたくさんの規則があり、公開できる物件と公開してはいけない物件に分かれています。
このように、不動産会社が企業戦略のために意図的に物件を隠すこともありますが、規則のうえで隠さなければいけないというケースもあります。
なぜ不動産会社が物件隠しをするのか、その理由を一つずつ詳しく解説していきます。
1、手数料を倍額とるための囲い込み作戦
囲い込みとは、売買契約において売り手と買い手の両方を仲介できる状況を作り出すことです。
これの何が物件隠しに繋がるのか順番に説明していきますね。
不動産会社が仲介をすると契約者から仲介手数料をもらうことができますが、売り手と買い手の両方を仲介した場合は、2倍の報酬をもらうことができます。
そのため、自社に都合がいい買い手が現れるまで売却を依頼された物件をわざと隠すという悪質な不動産会社が出てきてしまいました。
これを不動産会社の囲い込み作戦と言います。
通常、売却の依頼を受けた不動産会社は、レインズという国土交通省が指定する不動産検索サイトに登録する義務が生じます。
しかし、囲い込みをしたい不動産会社は、物件をすぐに非公開にし、わざと問い合わせがかからない状態を作り出します。
囲い込みは、不動産会社の利益が先行しており、お客様のことを考えているとは言い難い行為のひとつです。
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2、売れ残っている物件を売る戦略
不動産会社のインターネットで毎回同じ物件が表示されたら、何だか怪しい雰囲気を感じると思います。
不動産会社の窓ガラスや広告板に、いつまでも同じ物件情報が貼ってあったら「ここ人気ないのかな?」と思ってしまいますよね。
実際、物件は最初に掲載したときが問い合わせのピークとなり、そこからどんどん問い合わせ数が減少していきます。
数カ月も同じ広告を続けても、お客様に不信感を与えるだけで、成約率が高まることはあまりありません。
このような場合、不動産会社はあえて一時的に物件の掲載を取りやめることがあります。
これは、物件の価値を下げないための販売戦略のひとつとして活用されており、お客様を騙すような営業手法ではありません。
その物件の需要が高まってきたときには、再掲載したり来店時に紹介したりすることもあります。
3、事故物件のため物件を隠す
入居者が病死したり、自ら命を絶ってしまったり、事件が起こったりした物件を事故物件と呼びます。
一般的に事故物件は安価で取引されていますが、事故物件に住みたいと思う人はごくわずかです。
事故物件という事実を風化させるための措置として、親族に一時的に住んでもらうという方法をとっている会社もあります。
一時的に住むといっても、実際にその家で暮らすわけではなく、「事故後に誰かが住んだことがある」という既成事実をつくるための臨時措置です。
この臨時措置期間は、物件の募集はしませんが、ある程度時間が経過したら募集をかけることもあります。
また、「ここは事故物件ですよ」という告知義務もないため、知らないふりをして事故物件を紹介する業者もいます。
2、売主が物件隠しをする2つの理由
ここまで、不動産会社自身の都合により物件隠しを行う理由を紹介してきました。
その一方で、お客様の要望や規則など売主の都合により物件の隠すこともあります。
売買契約をすすめたいという気持ちの裏側で、なぜ物件を隠さなければいけないのでしょうか。
売主が物件を隠す背景には、売主側のプライベートな事情や法律などが原因です。
このような場合、不動産会社は物件を紹介したくても紹介できないというジレンマを抱えていると言えます。
それでは、売主が物件隠しをする2つの理由について解説していきます。
1、売却を誰にも知られたくないプライベートな問題
売り手であるお客さまが不動産会社に「売却していることを隠してほしい」と依頼することがあります。
売却を知られたくない理由は様々ですが、借金や離婚などが原因で、近所の人や親族に売却活動していることを知られたくないという事情であることがほとんどです。
一般的に、買い手を探すときは近隣住民に向けて広告を出しますが、このような場合は、広告を行わずに問い合わせしてきた人にだけ物件を紹介する個別販売という方法があります。
このように、不動産会社にはプライバシーを重視した物件も抱えているため、インターネットやチラシには載せていない物件を抱えていることもあります。
2、公開してはいけないという建築基準法の決まり
不動産会社が守るべき宅建業法という規則に、建築確認を受けていない未完成物件は広告してはいけないという定めがあります。
建築確認とは、工事着工前に建物が建築基準に適合しているかどうかを審査することです。
そのため、「ここに新築物件が立ちそうだな。不動産会社に問い合わせてみよう」と思っても、不動産会社では建築確認が取れていない物件を紹介できない決まりになっています。
これは、建築基準を満たした安全な物件を紹介するための制度であり、一般消費者を守るための規則です。
ちなみに、「これから建築確認を行う予定ですが、数か月後に新築物件が建つ予定です」と広告することも禁じされています。
一方で賃貸であれば、このような建築確認前でも広告することができます。
3、隠された物件を見つける2つの方法
以上が、不動産会社による「物件隠し」の実態です。
不動産会社によって様々な事情で物件隠しが行われているとご説明してきました。
では、このような物件隠しにより非公開になっている物件はどうやって見つけ出せばいいのでしょうか。
実は、非公開物件は不動産会社に頼めばあっさり情報を開示してくれます。
要は成約できればいいのですから、物件をいつまでも手元に置いておくということはあまりありません。
また、不動産会社間では情報を共有していることが多いため、A不動産会社の物件をB不動産会社で紹介してもらうこともできます。
このように意外と簡単に物件の情報開示を求めることが可能です。
それでは、この非公開物件をみる3つの方法をさらに詳しく紹介していきます。
1、思い切って担当者に聞く
非公開物件を見たい場合は、不動産会社の担当者に問い合わせてみましょう。
不動産会社としてもできるだけ多く成約したいため、問い合わせがあれば快く情報を開示してくれます。
さらに、不動産会社のホームページに掲載していない物件もあります。
これは、不動産会社のホームページ担当者が物件情報を更新し忘れたり、退去の準備が整わないため公開が遅れていたりするためです。
また、不動産会社では一人の社員が抱えている案件数が多く、情報更新まで手が回っていないかもしれません。
「不動産サイトに空き情報がない」「こんな場所に空き物件があったらいいな」と思ったら、遠慮なく不動産会社に問い合わせてみましょう。
掘り出し物件が見つかることもあります。
2、自分の足で探してみる
街を散策してみると、ところどころに空き物件を見かけたことはありませんか。
空き物件には「売出中◎◎不動産」「入居者募集中○○不動産」という立て看板に各会社名が記載されてある場合があります。
もし気になる物件を見つけたら、一度不動産会社に問い合わせてみましょう。
不動産会社では物件情報を共有していることがあるため、看板に記載されてある会社ではなく、全く別の不動産会社でも問い合わせに対応してくれます。
また、不動産会社を経由せずに個人で物件を管理している人もいます。
個人間の不動産売買は違法ではありませんが、きちんと契約書を作成しておかないと後でトラブルの原因になります。
しかし、こういった場合でも不動産業者に契約書だけを作成してもらうなど、状況に応じて相談に乗ってくれる業者もいます。
気になる物件を見つけたら気軽に相談してみましょう。
4、おとり広告に要注意
「あるはずの物件をないことにする」物件隠しではなく、「ないはずの物件をあることにする」おとり広告にも注意しましょう。
おとり広告とは、実際にはない物件をあるようにみせかけて集客する方法です。
先に述べますが、おとり広告は「不当景品類及び不当表示防止法」という規則で禁じられている違法行為に該当します。
例えば、不動産会社のチラシに魅力的な物件をみせ、来店の予約を取り付けます。
来店時にその物件を問い合わせると「人気物件なので売れてしまった」と言われ、他の売れ残っている物件を無理に紹介されるというケースがあります。
もし、ありもしない物件を掲載し、別物件を売りつけてくるような業者がいたら「目的の物件がないなら帰ります」とキッパリ断るようにしましょう。
まとめ
不動産会社が物件隠しをする理由は、自社の利益のためだったり、お客さまからの依頼であったりします。
自社の利益というのは、囲い込みという売却手法を使い、売り手と買い手の双方を両手仲介し報酬を受け取ることです。
一方で、お客様のプライベートな事情により物件の情報を非公開にすることもあります。
このように物件隠しには様々な事情が絡んでいます。
そのため、非公開物件を知りたいときは、思い切って不動産会社に問い合わせてみましょう。
不動産会社では物件情報を共有しているため、他の不動産会社の物件であっても、快く物件情報を開示してくれるでしょう。
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