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空き家は所有しているだけで様々な費用が掛かります。
固定資産税をはじめ、建物の修繕費や管理のための水道光熱費など、誰も住んでいなくても毎月の支出が止まることはありません。
また、きちんと管理をしていかないと資産としての価値が下がり、空き家を売却するときのマイナス要素にも繋がってしまいます。
空き家を早期売却するためには、定期的な管理を行い、美観を維持しておくことが大切です。
このページでは、空き家を売るときに掛かってくる税金に関することや、売却のための査定方法などをご紹介します。
1、空き家の売却には税金が掛かる
近年では、親から相続した住宅がそのまま空き家になる問題が増加しています。
親から住宅を相続しても、自分がすでに遠方で暮らしている場合は、すぐに戻るわけにはいきませんよね。
遠方から定期的に空き家を訪れて管理するのも大変です。
もう誰も使わない空き家なら、できるだけ早めに売却してしまったほうが良いかもしれません。
毎月空き家の維持管理のために費用を掛けるよりも、売却金を得たほうが、はるかにメリットがあるでしょう。
しかし、空き家を売るときには注意が必要です。空き家を売って所得を得た場合は、税金が掛かる仕組みになっています。
1、空き家を売ると課税される譲渡所得税
不動産を売却したときは、譲渡所得税というものが課税されます。
譲渡所得税とは、不動産を売却して利益を得た場合に、その所得に対して掛かる税金のこと。
空き家を売った場合も同様に譲渡所得税が掛かることになります。
この「利益を得た場合」というのは空き家を売ったことで手元に残る譲渡益です。
実際に売却をした価格から、住宅の取得費用や譲渡費用などを差し引いて残ったものを言います。
たとえば空き家が800万円で売れたのに対して、譲渡費用が100万円掛かった場合。
残った700万円が譲渡所得となります。
ちなみに譲渡費用とは、空き家を売るために掛かった費用のこと。
売却時における印紙代や登記費用などが譲渡費用にあたります。
譲渡所得の計算式
譲渡所得金額=譲渡価額(売却金)-(取得費+譲渡費用)
取得費の割り出し方は2通りあり、実額法と概算法のどちらかで計算。
実額法は、最初に住宅を購入した代金と取得する際に掛かった費用から、建物の原価償却費に相当する金額を差し引いて割り出します。
もし住宅の購入金額がわからない場合は、概算法によって計算しましょう。
概算法は単純で、譲渡価額の5%を取得費とします。
ちなみに、実額法で計算した金額よりも概算法のほうが低い場合は、譲渡価額の5%を取得費とすることが可能です。
ここで算出した譲渡所得金額に税率を掛けて譲渡所得税を計算します。
譲渡所得税の税率
住宅をどれくらい所有していたのか、によって税率が変わります。
長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられており、空き家を売った年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得。
逆に5年以下の場合は短期譲渡所得となります。
それぞれの税率は下の通りです。
- 長期譲渡所得15%
- 短期譲渡所得30%
たとえば10年間所有していた空き家を売却した場合に、譲渡所得金額が700万円だったとします。
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譲渡所得700万円×税率15%=105万円
こうして算出された105万円が譲渡所得税として課税されることに。
空き家を売ったら105万円も税金で取られるなんて、「もったいない」と感じる方もいるかもしれませんね。
2、空き家を3年以内に売却すると税金がお得に
親から相続をした住宅がそのまま空き家になり、所有しているだけで費用が掛かるから売りたいのに、売却代金に対してまで税金を支払わなければならない。
これでは、ちょっと納得がいきませんよね。
実は、居住用の住宅を売却した場合は、税金が控除される特例措置を受けることができます。
いったいどんなものなのでしょうか?
1、3,000万円特別控除を受けよう
各都道府県の地方自治体は、相続があった数だけ空き家が増加しているという問題に直面しています。
放置されている空き家も増え続けており、それによって不法侵入が発生したり火災の原因になる危険性も。
その空き家問題の対策として、空き家を売却した際の譲渡所得に対し控除が受けられる特例措置が設けられました。
3,000万円を上限に、課税譲渡所得を計算する際に特別控除分を差し引くことができます。
計算式は下の通りです。
譲渡所得=譲渡価額(売却価格)-(取得費+譲渡費用)-特別控除3,000万円
(取得費がわからない場合は譲渡価額の5%で計算)
この特例措置を適用するためには、一定の要件を満たさなければなりません。
- 相続をした日から起算して3年を経過する年の12月31日までに空き家を売却すること
- 被相続人(親など)が自己の居住用として使っていたこと
- 相続人が空き家を売却すること
- 空き家に耐震性が無ない場合は、耐震リフォームをする必要がある
- 昭和56年5月31日以前に建てられた住宅であること
細かく条件が決められています。
しかし、一般的な中古住宅の相続であれば、これらの要件を満たしている場合が多いのではないでしょうか。
要約すると、相続が発生してから3年以内に、相続人が空き家を売却すれば良いのです。
空き家が耐震基準に満たしていない場合に限り、耐震リフォームをしてから売却しなければなりません。
建物の倒壊を防ぐためにも、ホームインスペクション(住宅診断)などを利用して耐震に関する確認をしておくと安心です。
もし建物を解体して更地で売却する場合は、耐震基準など関係なく売却することができます。
3、空き家は所有しているだけで税金が掛かる
空き家は売るときに譲渡所得税という税金が掛かる、ということは前述した通りです。
ところが、すぐに売却できれば良いのですが、建物が古く老朽化が進んでいる場合はなかなか売れません。
空き家と言っても、土地や建物は不動産という「動かない資産」です。
その資産に対して課税されるのが固定資産税。所有しているだけでも税金が掛かるのです。
1、固定資産税
固定資産税とは、1月1日時点で不動産を所有している人に課税される税金のこと。
対象の不動産がある市区町村から課税されます。
計算式は下の通り。
固定資産税額=課税標準×税率(固定資産税の税率は1.4%)
課税標準とは、固定資産税を算出するための基礎となる価格です。
土地であれば路線価を基に算出し、建物の場合は再調達価格を割り出して計算します。
再調達価格とは、その建物をもう1度再建築したときにかかる金額のこと。
中古住宅の場合は、そこから建物の築年数を考慮して算出していきます。
4、売却のプロが行う空き家の査定方法
空き家の売るときは、複数の専門業者に査定を依頼するのが一般的。
では、専門業者はどうやって、何に基づいて不動産の査定をしているのでしょうか?
査定価格の根拠がわかれば自分でも計算できるようになり、業者に対して価格交渉をすることも可能になります。
1、不動産価格を決める計算方法
不動産業者が住宅の売却査定を行うときは、一定の方法を使って計算しています。
3つの方法があるのでご紹介しましょう。
- 収益還元法
- 原価法
- 取引事例比較法
収益還元法は、主に賃貸物件の運営をするための物件を売却するときに使う方法です。
賃貸物件とは、賃貸アパートやマンションに入居している人から家賃収入を得て経営することを言います。
年間の想定家賃収入から不動産価格を割り出す方法で、ほとんどの場合は収益物件が対象です。
原価法は、中古住宅を再度建築する場合に掛かる再調達価格を割り出し、そこから築年数や建物の現況を考慮して算出します。
ただし、実際には築年数で価格を決める方法には根拠がありません。そのため古い建物に関しては、ざっくりと計算されることも。
そこで使用されるのが取引事例比較法です。
対象の住宅があるエリア内で、過去によく似た条件で売買された不動産を調査し、実際の取引事例と比較して査定を行います。
不動産のポータルサイトやデータベースを扱うサイトで、現在と過去の不動産売買に関する情報を見ることができます。
参考サイト⇒at home(アットホーム)
参考サイト⇒レインズ
2、路線価を見て空き家の価格を割り出す方法
不動産の査定で主に使用されるのは取引事例比較法ですが、路線価を基に空き家の価格を計算することもできます。
路線価とは、対象の不動産がある道路に面した宅地の1平方メートルあたりの評価額のこと。
毎年、国税庁が発表しており、国税庁のwebサイトで確認することができます。
路線価を基に査定をするには、実勢価格(実際に売買される金額)を算出しましょう。
実勢価格=路線価÷80%×110%
路線価は前述の通り、国税庁のwebサイトから見ることができます。
(画像参考⇒国税庁 路線価図より抜粋)
上の画像は、東京都足立区の路線価図の一部を抜粋したもの。
赤い丸で囲っている「235D」という部分が路線価です。
この宅地の1平方メートルあたりの評価額は、23万5千円となります。
こちらを例にして、対象不動産の宅地が80平方メートルだった場合。
路線価1,880万円÷80%×110%=実勢価格2,585万円
2,585万円が実勢価格となり、査定の目安となります。
実際に自分の住宅でも試してみてくださいね。
5、空き家が売れるまでは誰が管理する?
相続した空き家の近くに自分が住んでいるのならいつでも様子を見に行くことができるでしょう。
しかし、遠方に住んでいる場合は、なかなか頻繁に見に行くことはできませんよね。
自分一人で抱えこまずに、家族や親戚に空き家の管理を頼んでみると良いかもしれません。
もし空き家の近くに親族が住んでいる場合は頼みやすいですね。
もしそれでも頼める人が身近にいない場合は、空き家管理サービスを利用してみましょう。
専門の業者が定期的に空き家を訪れて、清掃や建物の不具合をチェックしてくれます。
プランによっては格安のものもあるので、ぜひ相談してみてください。
参考サイト⇒NPO法人 空き地・空き家管理センター
1、定期的に空き家を管理したほうが良い理由
空き家をできるだけ早期に売却するためには、建物をきちんと維持管理しておかなければなりません。
もし買いたい人が内覧に来たときに、敷地内が雑草で荒れていたり、室内に異臭が立ち込めていては、売れるものも売れなくなってしまいます。
できるだけ清潔感のある雰囲気を保つことが大切です。
2、空き家を放置するのはとても危険
空き家が放置され、建物が倒壊しかけて近隣に危険を及ぼしかねない問題が深刻になってきています。
空き家を放置することで、庭木の枝が境界を越えて隣の建物に傷をつけてしまったり、古くなった屋根の瓦が落ちて通行人に怪我をさせてしまう危険性が。
また、木造の住宅は湿気にとても弱く、定期的に換気をしないと老朽化が進んでしまいます。
建物全体がゆがみ、「扉がなかなか開かない」という事態に陥りかねません。
老朽化が進むと建物の見た目にも顕著に現れるので、それこそ空き家の売却が遠のいてしまいますね。
空き家を管理するのは費用も掛かりとても大変ですが、早く売るためにも、しっかりと管理をしておきましょう。
まとめ
空き家を売るときは、そのまま売却金が手元に入るわけではありません。
譲渡所得税が掛かったり、空き家が売れるまでは固定資産税も掛かります。
売却金から税金が引かれるのはもったいので、ぜひ空き家売却の特例措置を利用してみてください。
また早期に空き家を売るために、できるだけ早めに不動作業者に売却査定を依頼しておきましょう。
空き家がいくらで売れるのかを知っておけば、売却するための資金計画も立てやすくなります。
売却の目途が立てば、「いつまで管理をすればいいか」といった目安にもなるでしょう。
不動産の査定価格が決まる根拠を予め知っておくことで、見積もりにも納得がいくし、不動産業者と交渉することもできるようになります。
取引事例比較法や路線価図を基に簡単に不動産の査定が行えるので、ぜひwebサイトなどでチェックしてみてください。
空き家を放置すると、どんどん建物は老朽化していきます。建物の倒壊などで近隣の住民に危険を及ぼす可能性も。
空き家を売るまでの必要経費と割り切って、空き家管理をしてくれる専門業者を利用するのも一つの手です。
空き家をそのまま借り上げる、サブリースを行っている不動産業者もいるので、相談してみると良いでしょう。
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