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親が昔から住んでいる家は、親の高齢化に合わせて壁に手すりを設置したりバリアフリーにするなど、介護しやすい環境にリフォームすることができます。
しかし、子供たちが遠方に住んでいる場合は、頻繁に実家に帰って親の様子を見ることもできません。
そんなときは、老人ホームへの入居を検討される方も多いでしょう。
老人ホームであれば常に専門のスタッフがいて、何かあればすぐに対応してもらえるので安心です。
もし親が老人ホームに入居することになったら、それまで住んでいた家はどうすればいいのでしょうか?
このままでは空き家になってしまいます。
長く住んでいた家を売却するか、賃貸にして誰かに借りてもらうか、決断しなければなりません。
今回の記事では、売却することと、賃貸にすることのメリットやデメリットを比較していきますので、ぜひ判断する際の基準の一つにして下さい。
1、親が住んでいた家は、売却と賃貸どちらがいい?
親が住んでいた家を離れる場合、残された家は空き家になってしまい、きちんと管理をしていかなければ老朽化が進んでしまいます。
老朽化が進むと建物の損傷がひどくなり、売却が難しくなってくるでしょう。
賃貸にしても、リフォームをしないと借り手がつかない可能性もあります。
できるだけ早い決断が必要かもしれません。
親が完全に老人ホームに入居してしまう前に、しっかりと検討していきましょう。
1、家を売却することで老人ホームの資金に充てられる
老人ホームに入居する際は、入居一時金や月額利用料などの費用が掛かります。
一般的な老人ホームであっても高額な場合が多く、入居するだけでもかなりの資金が必要です。
親が家に住まなくなるのであれば、いっそのこと売却してしまって老人ホームの入居費用に充てるのも良いかもしれません。
もし家が2,000万円で売れるとしたら、まず老人ホームの入居一時金に充て、残りは月額費用に回すことができます。
あとは親の年金でやりくりしていけるのが理想ですね。
ただし、家を売却する場合は、できるだけ早く進めていきましょう。
空き家になってから日数が経過してしまうと、どんどん建物が老朽化していき売れにくくなってきます。
空き家になった場合は、定期的に窓を開けにいって、しっかりと換気をしておかなければなりません。
木造住宅は湿気に弱いので、換気ができていないとゆがみが生じて扉が開かなくなるなど、建物自体に影響が出てきてしまいます。
建物が内部から傷みはじめると、より一層、老朽化のスピードが速まってしまうことに。
もし住んでいる所が遠くて頻繁に行くことができなければ、空き家管理サービスを行っている業者を利用したほうが良いでしょう。
家は早く高く売ったほうが良い
基本的に、土地の価値は路線価を基に算出する場合がほとんど。
建物は固定資産税評価額を基にします。もしくは、原価法によって建物の再調達価格を割り出して査定する場合が多いです。
ところが、あまりにも建物の老朽化が進んでしまうと、建物自体の価値が無くなってしまい、土地の値段だけでしか売却できなくなることも。
たいていの場合、買主となるのは個人ですので、建物や敷地内の状況は特に厳しく見られるでしょう。
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雑草が伸び放題だったり、建物に雨漏りが発生していると、心象が悪くなり売れるものも売れなくなってしまいます。
親が住んでいた家を管理するのは現実問題としてかなり大変。
管理が不十分だと家の状態がどんどん悪くなってしまいます。
それを考えると、できるだけ早い段階で売ってしまったほうが安心です。
売る、売らないは後で考えるとして、親が老人ホームに入居する話が出た段階で、家の売却査定をしておいたほうが良いでしょう。
専門の不動産業者に依頼して査定見積もりを取っておけば家の相場がわかるので、いくらで売却できそうかの指標にもなります。
家の売却相場を把握しておけば、「仮に賃貸物件として運用するとしたら、どちらのほうがメリットがあるのか」といった判断材料としても使えるのではないでしょうか。
業者が不動産の売却査定を行うときは、路線価図や過去の不動産売買があった取引事例を調査して計算します。
この路線価や不動産売買の取引事例などは自分でも調べることができるので、ぜひ試してみてください。
下記のサイトで調査することができます。
参考サイト⇒国税庁 路線価図
参考サイト⇒不動産取引価格情報検索
本当に売却するのが妥当なのか考える
老人ホームが終の棲家とは限りません。
親が老人ホームに入居していても、月日が経つと「家に帰りたい」と言いだすことがあります。
長く住んでいた親しみのある家で暮らしたい、と考えるようになることもあるでしょう。
そのときに、すでに家を売却してしまっていたら帰る場所がありません。
昔から親が住んでいた家を本当に売ってもいいのか、真剣に考える時間も必要です。
2、家を賃貸運用すれば家賃収入が得られる
空き家を賃貸物件として運用することで、家賃収入を得ることができます。
賃貸にすれば、家を手放さなくて済むし、定期的な空き家の管理からも解放されることに。
アパートやマンションといった集合住宅の賃貸物件はかなり多いのですが、戸建が賃貸になっている物件は少なく希少性が高いです。
その分、収益性も高くなる可能性が。
良いことばかりのように思えますが、もちろんデメリットもあります。
もし建物の老朽化が進んでいる場合は、ある程度のリフォームやリノベーションが必要になるかもしれません。
壁紙や床が汚れている程度ならいいのですが、給湯器などの設備が壊れている場合は修理をする必要があります。
いろいろ修理をしていると、思わぬ支出になることもあるでしょう。
ホームインスペクション(住宅診断)などのサービスを利用して、建物チェックをしてもらうのも良いかもしれませんね。
親が住んでいた家がいくらの家賃で賃貸できるのか、不動産業者に相談してみましょう。
年間の家賃収入に対して管理費などがいくら掛かるのか、といった収益性についても把握しておけば、売却した場合との比較ができます。
3、老人ホームの入居費用は高額
一般的な老人ホームはどんな費用が必要なのでしょうか。
入居するためには、3つの費用が掛かります。
- 入居一時金
- 月額料金
- 介護費
入居一時金は、老人ホーム内の共有部分や、専用居室を利用するための権利金として掛かる費用です。
施設にもよりますが、入居一時金の額は数十万円から数千万円まで様々。「入居一時金なし!」といった老人ホームもありますが、そういった施設は月額費用が高めに設定されている場合があるのでご注意ください。
また、入居一時金は償却期間が設けられており、最大20年くらいまで償却されていくのが一般的。
月額費用は、専用居室や共有部分の管理費として掛かったり、水道光熱費やその他の雑費などとして掛かる費用です。
老人ホームによって、入居一時金と月額費用のバランスが異なります。
老人ホームは入居するだけでも高額な費用が掛かり、毎月の利用料も支払わなければなりません。
親の貯金や年金だけで回せるのであれば良いのですが、足りない場合は、やはり家をなんとかする必要があるでしょう。
2、家を売ると譲渡所得税という税金が掛かる
家を売却したときは、税金が掛かることがあります。
譲渡所得税というもので、不動産を売ったときに売却益がある場合は所得税が課税されることに。
たとえば家が2,000万円で売れたとします。
2,000万円の売却金から、売却時に掛かった譲渡費用や取得費などを差し引いて手元に残ったものが利益です。
その利益に対して、譲渡所得税が課税されることになります。
譲渡費用とは、売買契約書に貼る印紙代や、買主に所有権移転登記をする際の登記費用などがこれにあたります。
取得費は、親が住んでいた家を新築したとき、もしくは購入したときに掛かった費用のこと。
正確な金額がわかれば取得費として差し引くことができます。
しかし、親が昔から住んでいる家は、いくらでその家を取得したのかわからない場合がほとんど。
祖父母の代から受け継いで住んでいることもあり、新築したのか中古住宅を購入したのか不明な場合があります。
もし購入した金額がわからない場合は、どうすればいいのでしょうか?
その場合は、売却金の5%を取得費として概算することができます。
実際に家を2,000万円で売却した場合で、譲渡所得税を計算してみましょう。
譲渡費用は売却金の10%として計算します。
譲渡収入金額(売却代金)2,000万円-(取得費100万円+譲渡費用200万円)=譲渡所得1,700万円
譲渡所得は1,700万円です。
この譲渡所得に税率を掛けると、譲渡所得税が算出できます。
平成30年の所得税の税率は下の通りです。
区分 | 所得税 | 住民税 |
長期譲渡所得(家の所有期間が5年を超える場合) | 15% | 5% |
短期譲渡所得(家の所有期間が5年以下の場合) | 30% | 9% |
親が住んでいた家ということなので、たいていは所有期間が5年を超えているでしょう。
長期譲渡所得の税率で計算すると下のようになります。
譲渡所得1,700万円×税率20%=譲渡所得税340万円
340万円が譲渡所得税です。家を売るだけで、けっこう大きな税金が掛かることになりますね。
ちなみに税率は所得税と住民税の両方が課税されるので、合計した税率での計算です
3、家を売却することでの優遇制度
家を売ると多額の譲渡所得税が掛かってしまいますが、ある要件を満たせば一定の金額が控除される特例措置が設けられています。
所得税はかなり大きな金額ですので、優遇制度の適用要件を確認してぜひ活用しましょう。
1、老人ホームに入居してから3年以内に売る必要がある
3,000万円特別控除というものをご存知でしょうか?
これは、譲渡所得が最大3,000万円までなら、控除を受けて譲渡所得税を減税することができる特例措置です。
上の例で考えると、譲渡所得1,700万円に対して最大3,000万円が控除されるため、譲渡所得税額は0円となります。
なんと、340万円もの金額が課税されていたのに対し、特例措置によってこれが0円になるのです。かなり大きなメリットではないでしょうか。
3,000万円特別控除の適用要件
この特例措置を受けるためには、一定の要件を満たさなければなりません。
- 現在、本人が住んでいる居宅であること
- もしくは本人が住まなくなった日から3年を経過する日の年の12月31日までに売却すること
- 損益通算や繰越控除など、他の特例措置を受けていないこと
- 災害によって建物が滅失した場合は、災害があった日から3年を経過する日の年の12月31日までに売却すること(東日本大震災によって滅失した建物の場合は7年)
これらの要件をちゃんと満たせば、大きな減税が見込めます。
特に「本人が住まなくなった日から3年以内」に家を売ればいいので、その間は賃貸物件として誰かに借りてもらっていてもかまいません。
入居者には3年以内に退去してもらう必要がありますが、予めそういった取り決めをして賃貸借契約を締結しておけば問題ないでしょう。
参考サイト⇒国税庁 マイホームを売ったときの特例
まとめ
いかがだったでしょうか?親が老人ホームに入居するときは、いままで親が住んでいた家をどうするか悩みますよね。
すぐに売却するのか賃貸にするのか、どちらか迷ったときは、まずその家がいくらで売れるのかを把握しておきましょう。
専門の不動産業者に依頼すればすぐに査定してもらえます。
また同時に、「家を賃貸物件として運用したい場合は、いくらの家賃収入が得られるのか」といったことも相談しておくと一石二鳥です。
老人ホームは毎月の費用が掛かるため、それが賃貸の家賃収入で補填できればかなり助かるでしょう。
さらに、家を賃貸にすれば入居者が管理してくれるので、自分で管理をしたり空き家管理サービスなどの業者に依頼する手間が省けます。
これは「善良なる管理者の注意義務(略して善管注意義務)」と言い、賃貸物件を借りている入居者は、「自分の財産と同様の注意を払って管理をしなければならない」という義務が民法で定められているからです。
もし家を売却する場合は、多額の譲渡所得税が掛かってしまいますが、うまく特例措置を利用すれば大きな減税ができます。
家を売却したときは売却金が得られるので、一度に大きな額が手に入ります。
しかし、賃貸運用のような毎月の家賃収入はありません。
実際に親が老人ホームに入居する際に、初めにいくらの入居一時金が必要なのかを確認して、あまりも初期費用が掛かるようであれば家を売却。
そうでもなさそうなら、家を賃貸にして運用しながら、そこから得た家賃収入を老人ホームの月額費用に充てる。
というように、売却と賃貸どちらにするのかは、老人ホームの費用に応じて判断するのがベストです。
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