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近年、首都圏のマンションの価格が上昇し、都心など立地条件のいいマンションの購入価格は8,000万円を超える物件もあります。
国土交通省の住宅経済関連データによると、首都圏のマンションの平均価格はどんどん上昇し、2018年には5,906万円を超えました。
しかし、不動産の価値は上昇しても、一般家庭の平均年収が比例して上がっていくわけではありません。
共働きになった現代でも、気軽にマンションを購入できる環境になったとは言えない時代です。
このような状況の中でも、マンションを購入する方法はあります。
世代を超えて負債を分担する「親子リレーローン」という返済方法です。
この親子リレーローンを組めば、1代で購入不可能だったマンションも家族で協力して購入することができます。
そこで今回は、親子リレーローンを使ってマンション購入をする際の5つの注意点について紹介していきましょう!
1、親子リレーローンとは?メリットとデメリットについて解説
親子リレーローン(または親子リレー返済)は、親と子の2世代にわたり住宅ローンを返済していく方法です。
「住宅ローンを組みたいけど、年を取ってきたから今からじゃ返済しきれない」「家族全員で良いマンションに住みたい」という場合に、親子リレーローンが利用されています。
親子リレーローンは、通常の住宅ローンよりも多くの融資を受けることができるというメリットもありますが、融資を受けるためには家族で指定された融資条件をクリアしなければいけません。
また、返済が長期化することで返済計画を途中変更することが難しくなるというデメリットもあります。
そのため、親子リレーローンを上手に組むために、メリットとデメリットについて詳しく理解しておきましょう。
1、親子リレーローンの2つのメリット
まずは、親子リレーローンのメリットについて詳しくみていきましょう。
親子リレーローンの大きなメリットは、「融資可能額が増える」「月々の返済が楽になる」の2点です。
親子二世代でローンを組むため、どちらか一人だけでは借りることができなかった多額の融資を受けることが可能です。
多額のお金を借りることになる住宅ローンは、80歳までにすべての支払いを終えることが条件のひとつとなっています。
そのため、マンションの購入を決めた年齢によっては、期限まで払い終わることができず、融資を受けることが難しくなる場合があります。
しかし、親子リレーローンでは、親の年代だけでは返済しきれない残債を、子世代が受け継ぎます。
このように親子でローンの負担を分割し分け合うことで、1世代では返済しきれない住宅ローンを組むことができるようになりました。
2、親子リレーローンの2つのデメリット
一方で、親子リレーローンのデメリットも知っておかなければいけません。
融資可能額が増えるということは、「返済のリスクが増える」「相続トラブルの可能性」の2点がデメリットとして考えられます。
まず、返済のリスクから見ていきましょう。
親子リレーローンの返済のリスクとして、リレーローンを辞めたくなった場合でも、借り換えが難しいという点です。
親子リレーローンを支払っている最中に、転勤や離婚などで家族が別居することになった場合、新たに住宅ローンを組めないこともあります。
また、遺産相続でトラブルになる可能性も否定できません。
返済中に名義者である親が亡くなってしまった場合、配偶者と子供たちで遺産が分配となります。
一般的には、マンションのような不動産も、相場分の価額と相続人同士で分配しなければいけません。
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このとき、相続人である子名義の親子リレーローンはそのまま返済義務が残りますが、購入したマンションの権利などは共有持ち分として兄弟間で分配される可能性もあるということです。
このような事態にならないためにも、遺言書や生前贈与などの対策を考えておくことが大切です。
2、親子リレーローンを組むときの5つの注意点
2世代で協力し返済していく親子リレーローンですが、融資を受ける際の注意点があります。
親子リレーローンは、親子で連帯債務者となるため、双方が審査にかけられるということです。
連帯債務者とは、簡単にいうと「どちらにも支払いの責任がある」という立場になります。
連帯債務者は連帯保証人という立場よりも責任が重く、例えば片方が完済しても、連帯債務の場合はもう片方の支払いの責任は消えません。
このように親子リレーローンは、大きなメリットもありますが、責任が大きいため融資条件も厳しいものとなります。
親子で審査条件をクリアするためには、どのような注意点があるのか、また融資を受ける際に気を付けなければならないことを詳しく紹介していきます。
1、同居要件の改正により同居予定でなくてもよい
近年、核家族化がすすみ多世代同居が珍しいものとなってきました。
家という資産を確保したいけれど、同居までは考えられないという家庭も多いのではないでしょうか。
そんな中、以前の親子リレーローンは、原則として同居、もしくは将来的に同居予定であることが条件のひとつとなっていました。
しかし、住宅金融支援機関が運営しているローン商品のひとつである「フラット35」では、平成20年4月1日以降「共有者の同居は不要」と同居の条件を緩和しました。
これにより、親子リレーローンを組む際に同居が必須条件ではなくなり、別居していても融資を受けられるようになったのです。
ただし、平成20年4月1日以前の契約に関しては対象外となる可能性が大きいので、契約している金融機関に確認してみましょう。
親子リレー返済の後継者要件の緩和
・これまでの要件
お申し込みご本人と同居(または将来同居)すること
・平成20年4月1日以後のお申し込み分からの要件
お借り入れの対象となる住宅への入居予定のない方であっても後継者となることが可能です。
2、ローンの返済期間が一定の期間を超えないこと
親と子の2世代に渡り返済が可能な親子リレーローンですが、返済期間はいくら長くてもいいというわけではなく、一定の期間内に完済しなければいけません。
金融機関のローン商品によっても異なりますが、一般的には最長35年までに支払いを終える計画が必要になります。
親子リレーローンは、親だけでは返済しきれない分を子供に返済してもらうローンです。
そのため、親が高齢のために支払いきれなくなった場合は、連帯債務者である子供が残債の支払いを続けていくことになります。
しかし、子供世代は転職や孫の学費など、何かとお金がかかる時期に差し掛かることが多いため、しっかりと返済計画を立てないと住宅ローンの返済が困難になってしまう可能性もあります。
3、団体信用生命保険に加入すること
親子リレーローンを組む場合、親と子のどちらか一方が「団体信用生命保険」への加入が条件のひとつです。
団体信用生命保険は、略して団信とも言われています。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が死亡したり障害を負ったり支払いができない状態に陥ったときに、残りの残債を保険で充填する生命保険です。
一般的に、住宅ローンのような多額の融資を受ける際は、この団体信用生命保険の加入が必須となっており、親子リレーローンも同じく融資時に加入をすすめられます。
団体信用生命保険の月々の支払いは、契約によって異なりますが、月4千円~1万円程度です。
親子リレーローンを契約する際は、親か子供のどちらかに団体信用生命保険をかけることになります。
しかし、例えば加入した人が亡くなってしまった場合、双方の残債が消えるわけではなく、加入者の残債が清算という形になります。
つまり、親子リレーローンの契約者の加入者に団体信用生命保険が適用となっても、非加入者は自分の持ち分のローンをそのまま支払い続けなければいけません。
そのため、団体信用生命保険加入時には今後のことをよく考えて契約をしていきましょう。
4、ローンの後継者は子供でなくてもいい
親子リレーローンの後継者となる「子供」にあたる人は、実子や長男でなければいけないという規則はありません。
子ではなく、孫やその配偶者であっても親子リレーローンを組むことが可能です。
例えば、娘夫婦と親子リレーローンを組む場合、親と義息子で組むこともできます。
また、祖父母と孫で親子リレーローンを組むことも可能です。
ただし、契約者の「直系卑属」であることが条件となっている場合が多いので、全くの他人と親子リレーローンを組むことはできません。
直系卑属とは、本人の「子供」「孫」そして、「養子」を含むその下の世代のことを指します。
その中でも、働いており収入が安定している人がリレーローン加入条件となるので、人選には十分注意しましょう。
5、連帯債務者はひとり
原則として、親子リレーローンの連帯債務者となるべき人物はひとりです。
兄弟でローンを分け合うということもできません。
兄弟からお金を借りてローンを支払うということはできても、「兄弟なのだから、一緒に支払う責任がある!」と支払いの債務を押してけることも不可能です。
連帯債務者について少しおさらいしますが、連帯債務者とはローンの契約者本人と同等の責任を持つ立場の人となります。
この連帯債務者を大きな理由もなく途中で変更することや、投げ出すこともできません。
もし、離婚やリストラなど、支払いできないようなやむを得ない事情ができた場合は、親子リレーローンから単独ローンに変更することも可能です。
ローンの変更をしなければいけない場合は、事前に金融機関に債務者変更の相談を申し出てみましょう。
3、親子リレーローンが組めるフラット35とは
フラット35は、住宅金融支援機関が運営しているローン商品と紹介しましたが、もう少し詳しくフラット35について紹介していきます。
フラット35を知ることで、今後住宅ローンを組むときの参考となるので、この機会に知識を入れておくと大変便利です。
フラット35を商品化している住宅金融支援機関は、旧・住宅金融公庫と呼ばれ国土交通省と財務省が管轄する独立行政法人です。
住宅金融支援機関は、証券化事業や債券管理など様々な活動を行っていますが、その他には金融機関へ融資をしたり、子育て世代や高齢者のためのリフォーム資金を融資してくれたりする業務を行っています。
この住宅金融支援機関が銀行と手を組み商品としているのが「フラット」シリーズで、フラット35やフラット20、フラット50など様々なローン商品を民間の金融機関に提供しています。
フラット35の特徴
フラット35は銀行系の住宅ローンに比べ、審査が緩和されているとことが特徴です。
銀行系の住宅ローンでは、勤続年数や健康状態などに一定の条件がありますが、フラット35では、勤続年数が短く健康状態が良くない場合でも融資を受けられる場合があります。
だたし、団体信用生命保険の保険料が割高なこと融資額が少ないというデメリットにも注意しなければいけません。
また、フラット35は、固定金利のみという点にも注意して申込みしましょう。
固定金利に関しては、ページ下部の「親子リレーローン以外の選択肢」内にて詳しく解説しています。
4、親子リレーローン以外の選択肢
マンションを購入する資金融資を受けるために、親子2世代で住宅ローンを組める親子リレーローン。
親子リレーローン以外にも、債務を分け合うローンがいくつか存在します。
代表的なのは、親子間や夫婦間の収入を合算し住宅ローンを組む「ペアローン」や、返済額と期間が異なる2つのローンを組み合わせる「ダブルフラット」があります。
さらに、最長50年の住宅ローンが組める「フラット50」などがあります。
住宅ローンは長期的に支払っていくローンです。
月々の住宅返済費だけでなく、教育費や介護費、マンションの場合はさらに管理費や修繕費なども出てきます。
このように、将来的に負担することになる出費なども考慮し、無理のない返済計画を立てていきましょう。
それでは、親子リレーローン以外に、どのような融資を受けられるか、詳しく紹介していきます。
ペアローン
ペアローンとは、契約者と親や子、または配偶者と一緒に住宅ローンを組む方法です。
それぞれが債務を負担する連帯債務者となり、双方とも団体信用生命保険に加入します。
考え方としては、ひとつの住宅ローンを2人の債務者がそれぞれ支払いの責任を持つことになり、それぞれが独立して返済していくようなイメージです。
そのため、ペアローンを組んだ契約者それぞれに住宅ローン控除も適用させることが可能です。
住宅ローン控除とは、ローンの残債に応じて所得税から一定の額が戻ってくる精度です。
ローンの融資額やマンションの購入費によっても異なりますが、多くて年400万円程度を還付してもらうことが可能です。
ペアローンの場合、契約者それぞれが、この住宅ローン控除を受けることができます。
フラット35の収入合算
フラット35の収入合算とは、ローン契約者と連帯債務者の双方の収入を合算してローンを組む方法です。
ペアローンとほぼ同じ仕組みとなります。
収入合算システムを使えるのはいくつか条件があり、まず直系親族であることと同居予定がある場合となります。
直系親族とは契約者の親や子、配偶者の親となり、契約者の兄弟姉妹やいとこ、甥姪は収入合算ができません。
収入合算できる人は一人で、連帯債務者となり今後ローンを支払っていくことになります。
また、フラット35以外にも収入合算できる金融機関もあります。
金融機関によっては、連帯債務者よりも少しだけ責任が軽い、連帯保証人という形をとっているところもあります。
フラット50
フラット50とは、最長で50年の長期ローンを組むことができる全期間固定金利住宅ローンです。
住宅ローンは、35年で返済するのが一般的ですが、フラット50は最長でローン返済期間を50年に延ばすことができます。
固定金利とは、金利変動のない返済システムです。
例えば、経済状況の変動で金利が上がったとしても、返済まで一定の金利を払い続けることができます。
金利が上昇することで、返済額が増えるというデメリットがありますが、固定金利は一定の金利を払い続けるという契約なので、そういった変動により返済額が変わることはありません。
ただし、フラット50が適用となる住宅は、バリアフリー化や省エネルギー化の設計がされている「長期優良住宅」に限られていますので、注意が必要です。
まとめ
親子リレーローンは、親と子の2世代が共に住宅ローンを返済していく方法になります。
この親子リレーローンを組むためには、親子で同居する必要はありませんが、ローン返済期間や団体信用生命保険、連帯債務者はひとりだけにするなど、いくつかの条件が必要になりますので、注意が必要です。
また、親子リレーローン以外にも、夫婦間で住宅ローンが組めるペアローンや収入合算、フラット50など様々な返済方法があるため、状況に応じて検討してみましょう
このように、住宅ローンを組むときは、毎月の返済額だけでなくボーナス加算や定年までの期間、今後の家族計画を考慮し、慎重に選んでいかなければなりません。
あまり長期に住宅ローンを組んでも定年後の支払いも厳しくなってしまいます。
また、子供の急な進学や親の病気など、人生は何が起こるかわかりません。
そのため、少し余裕をもった返済計画をたて、家族全員で協力しあえるような住宅ローンを考えることが大切です。
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